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新宿の汚いプールバーでシャンディ・ガフとレッド・ツェッペリン 忍者ブログ
妄想/連想/暴走――激走する脳内モルヒネの意想。 変態ハードボイルド小説作家の有相無相――
酒井しのぶの作品紹介
【ファッキン・シスターズ・クライスト】
 酒好きで女好きで自堕落で格好つけの片桐有二は、二十五年まえに体験したレイプ事件のトラウマに悩まされる、ハードボイルドを気取った私立探偵。ある依頼がもとで、変態性癖が巻き起こす事件に首を突っ込むことになってしまう。高飛車で自分勝手なふしだら女の酒井しのぶと共に、事件の真相を探りだすのだが……推理あり、シリアスありの、本格ハードボイルド長編小説。
 

【あいつとの電話】
 ツンデレコンビのしのぶと有二。小説のなかだけじゃなく、普段の会話も超ツンデレ&超下品でちょっぴりエッチ!
 酒井しのぶの小説に登場する二人が織り成す、会話のみの超ショートショート作品集です。一話読みきりなので、お気軽に読んでいただければと思います。
 

【Shinobu to Yuji 短編集】
 長編ファッキン・シスターズ・クライストの外伝的一話読みきり短編作品集。笑い、切ない過去、素直じゃない愛情、そしてお決まりのエッチな会話。しのぶと有二のツンデレコンビは、殺人事件がなくても面白い。
 

 (注: すべての作品がR15指定です。作品の性格上、性描写、暴力描写、差別的発言などが各所に出てきます。不快に思う人は読まないでください)
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【ボチボチと書き始めています】
 いろいろあり、忙しい毎日を過ごしています。
 書きたい衝動は日に日に増してくるのですが、なかなか時間が作れず、昔のようにすべてを犠牲にして書く勇気もなく、いまは我慢の時期かなと思う今日この頃。
 それでも、書かずにはいられないときもあるので、短いエピソード的なものをチマチマと書いたりしています。
 皆様のところへ訪問する時間はまだなかなか作れませんが、毎日少しづつですが、勉強し精進しているところですので、いましばらくお待ちくださいませ。

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 小さな音量でレッド・ツェッペリンの移民の歌が流れているプールバーだった。
 あたしはバーカウンターに一番近い台を借りて玉突きをしていた。仕事帰りだったからハウスキューだったし、ビリヤードがたいして上手くない女友達と、これまたたいして上手くもない女友達の彼氏が一緒で、たいして上手くもないのにあれやこれやと自慢げにビリヤードの手ほどきをしているのにしらけてしまっていたあたしは、友達が玉突きしているのを眺めながら、バーカウンターでシャンディ・ガフをおしとやかに飲んでいた。一時期はビリヤードでプロになろうかと思うほどに真剣に取り組んでいたあたしにとって、その彼氏のアホ臭い講釈は聞くに耐えかねるものだった。小さな音量のレッド・ツェッペリンに無理やり耳を傾け、二人を視界から外すことに務めるあたし。夏の終わりで、夕立が激しく降ったのにも関わらず蒸し暑さがぜんぜんおさまらない、そんな夜の出来事。
 窓際のあたしたちから一番遠い台で、二人の男が玉突きをしていた。
 一人はどこにでも売っていそうな安っぽい半袖Tシャツにストレートのジーンズ、黒いスニーカーという出で立ちで、黒い短髪もまったく洒落っ気がない中肉中背のどこにでもいそうな男。コロナビールを飲みながらハウスキューで力任せに玉を突いているあたり、ビリヤードに関してはどう見ても素人。そこそこ上手いとはいえ、どんな状況でも思い切り良く玉を突き、常に手玉にバックスピンをかけたりするのは、素人の証拠だ。
 もう一人は台の脇のハイスツールに腰掛け、ウイスキーかなにかをロックで飲んでいた。白い麦わらのテンガロンハットにスカイブルーの銀縁サングラス、ボサボサで中途半端に伸びている錫色がかった黒い髪。紺のタンクトップの上に半袖で花柄の解禁シャツをだらしなく羽織り、色の濃いブーツカットジーンズの裾の先には、蛇革模様で先の尖ったブーツが見えている。大きな水牛を型どったベルトのバックルは、角が長く伸びていて、前屈みになったらお腹に刺さってしまうのではないかと言うほどだ。この男はいったいいつの時代を生きているのかと思うような、古めかしいファッション。ブーツの踵にギザギザの輪っかがついていたり、腰からガンベルトがぶら下がっていたりすれば、西部劇さながらなのになと、そんなことを思いながらあたしはその男を眺めていた。
 調子よく玉を突いていた力任せな素人の男が、五番のところで手玉をスクラッチさせてしまい、サングラスの男に向かってニヤリとしてからやれやれってポーズをした。
 サングラスの男は、無表情のままでハイスツールからゆっくりと立ちあがり、手に持っていたオールド・ファッションド・グラスの中身を一気に飲み干した。グラスを小さなテーブルに置いて、そのテーブルに立てかけてあったキューを手に取り、ゆっくりと台に近づいた。台の真上に吊るされた照明に男のキューが照らされ、それがハウスキューじゃないのがわかった。黒塗りに白く細い流線のラインが幾重にも描かれ、ジョイントに近い部分に埋め込まれたターコイズが鮮やかに輝く、とても美しいデザインのキューだった。
 サングラスの男は、キューの先端にチョークを塗り、台の周りをグルリと一周した。それから落ちた手玉を手に取って、五番をコーナーポケットに狙える位置に置き、上体を高くした姿勢のままなんの迷いもなく手玉を優しく突いた。手玉は五番に当たり、五番はコーナーポケットに、そしてクッションで跳ね返ってきた手玉は六番を反対のコーナーポケットに狙える位置でピタリと止まった。
 上手い――あたしたちの台では、だらしなくニヤけた顔の彼氏が女友達の腰に手を回しながらろくでもない講釈を並べているというのに、向こうの台の西部劇から出てきたような男は、プロのような上手さ。
 サングラスの男は、六番も簡単に落とし、七番を九番に当ててものの見事にコンビネーションを決め、何事もなかったように無表情のままゆっくりと窓際に歩いて行き、ハイスツールに座ってタバコに火をつけた。テーブルの上のグラスを手に取り、溶けた氷を揺すってから、あたしの後ろにいる店員に向かって掲げて見せたとき、サングラスの男とあたしは目が合った――
 あたしはサングラスの男を見たままで、シャンディ・ガフを一口飲み、タバコに火をつけて足を組み替えてからバーカウンターのなかの店員のほうへハイスツールを回し、サングラスの男に背中を向けた。
 サングラスの男はあたしの隣にやってきて、店員が差し出したウイスキーかなにかのロックを一気に飲み干し、店員におかねを払って素人の男と一緒に店から出て行った。
 一人でバーカウンターに座っているあたしと目が合っておきながら、声もかけないなんて、なんて男だ――むかつく。むかっ腹が立つ。
 だけど――
 サングラスの男のたいして低い姿勢にならない構えをした時の、キューを握る腕はあたし好みな細マッチョのそれだった。細くしなやかな筋肉、手玉を突く瞬間、キューを握る手に力を入れたその瞬間に浮き出る太い血管。
 あたしは女友達とその彼氏の間抜けなやりとりを無視して、ハイスツールから飛び降り出口に向かって歩きだした。それに気がついた女友達があたしを呼び止めた。
「しのぶ、どこに行くの?」
「帰るのよ」
「ええ? あんたまだ一回もビリヤードしてないじゃない。一緒にやろうよ」
「あたしがここでビリヤードをしたら、あんたの彼氏があんたに適当なことばっかり教えているってのが、バレちゃうからやめとくわ」
 あたしは、あたしのその言葉を聞いた店員がクスクスと笑ったのを見てから店を出た――スカイブルーのサングラスをした男は、もうどこかへ消えてしまっていた。
 さっきまで聴こえていたレッド・ツェッペリンのシンコペーションが、小さな音量だったのにも関わらず耳にしっかりと残り、街のざわめきをリズミカルなパーカッションへと変えていた――

拍手[6回]

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無題
久しぶりに拝見しました。
よどんだ空気のリアリティイ
私小説か、フィクションか
いずれにしても、映画をみているような
エピソードでした。
狼皮のスイーツマン URL 2010/09/19(Sun)17:32:43 編集
無題
ブログの関係なしにファンなんで玉に更新あると嬉しいですね。

あとあまりせかした事を言いたくないのですがファッキン・シスターズ・クライストの続編はまだでしょうか?
アレだけ焦らしてもらってるんで・・・

できれば今年中にお願いしますよ

不定期な更新楽しみにしています!
sportちょっぷ URL 2010/09/20(Mon)20:18:45 編集
無題
おはようございます。

プールバー、若い頃はやってましたね。私もへたくそなりに一生懸命キューを持ちやってました。最近じゃどこでも見かけないですが・・・。

この雰囲気、とても素敵です。ありがとうございました。
ジス URL 2010/09/22(Wed)09:41:55 編集
こんにちは(^^)
久しぶりの更新、嬉しいです^^
しのぶさんの世界にひきこまれる様にして読ませていただきました。
頭の中で映像がながれるような感じでしたよ^^
りい子☆ URL 2010/09/22(Wed)13:37:18 編集
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