しのぶのあっちがわ
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妄想/連想/暴走――激走する脳内モルヒネの意想。 変態ハードボイルド小説作家の有相無相――
ja
2010-12-24T12:13:12+09:00
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レミントン・ファイア・ボール
いきなりなんだこのタイトルは? と思った人もいるでしょう。
まぁ酒井しのぶのことだから、また格好良い響きの言葉を並べただけだろう――なんて思っている人もいることでしょう。
はっきり言って、そのとおりです!(笑)
このブログでもたびたび取りあげている、JFK暗殺事件。
ま...
まぁ酒井しのぶのことだから、また格好良い響きの言葉を並べただけだろう――なんて思っている人もいることでしょう。
はっきり言って、そのとおりです!(笑)
このブログでもたびたび取りあげている、JFK暗殺事件。
まえにもちょこっとだけ書いた記事はこちら→ アメリカ大統領
そして、レミントン・ファイア・ボールというのはこれです。
撃ったときに銃口から炎と煙が噴き出すところからその名がつけられた、全長わずか30センチほどの小型ライフルです。
大きさを比較するものがないので、想像しづらいでしょうが、スコープの大きさと本体の大きさを比べてもらえば、やはり小さい銃だというのがわかると思います。
まぁ御託を並べても面白くないので、ここらへんで。
今日はこんな動画を見つけたので、みんなでじっくり鑑賞しようかなと思って記事にしただけなんですよ。
まぁ信じるも信じないも、あなた次第ってやつですね。
あたしが気になったのは、この犯人だと名乗る男の名前です。
ジェイムズ・E・ファイルズ
え? ジェイムズ・エルロイ様のファイル?
って感じでちょっと驚きました。
エルロイ様の作品である、アメリカン・タブロイドに書かれているJFK暗殺当日の詳細も、この男の証言と酷似してますしね。まぁそんなことは調べれば誰でもわかることなのでしょうけどね。
ともあれ、最後の薬莢の歯型なんかは、発見されたのが1988年だそうで。JFK暗殺が1963年ですから、25年ものあいだその場所に放置されていたことになるわけです。
うんまぁ、そんな奇跡みたいなこともあるのねと、思っておきますか。(笑)]]>
アンダーワールドな妄想
2010-12-24T12:13:18+09:00
酒井しのぶ
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酒井しのぶ
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タバコとハードボイルドとあたし
こんばんは、酒井しのぶでございます。
注: この記事は不適切な発言が多発します。お嫌いな人は読まないでくださいませ。なお、この記事は喫煙を助長したり、非喫煙者を馬鹿にしたりするものではありません。ブログ及び記事の性格上、過激な表現を使用していることをあらかじめお知らせしておきます。
...
注: この記事は不適切な発言が多発します。お嫌いな人は読まないでくださいませ。なお、この記事は喫煙を助長したり、非喫煙者を馬鹿にしたりするものではありません。ブログ及び記事の性格上、過激な表現を使用していることをあらかじめお知らせしておきます。
あたしはヘビースモーカーです。現在のタバコの値段はとっても辛いものがありますが、それでも禁煙する気はまったくありません。
まぁそんなことはどうでもいいのよ。
あたしがタバコに興味を持ち出したのは、まだずっと幼い頃。
誰でも一度は格好良いと思ったことがあるんじゃないでしょうか? ルパン三世の次元大介がくわえるグニャリと折れ曲がったタバコ。
あたしが観ていたルパン三世は、宮崎駿が携わっていたものでしたから余計なのかもしれませんが、次元がくわえるタバコと、そのタバコから流れる紫煙にものすごい格好良さを感じたものです。
先日も金曜ロードジョーでやっておりましたが、カリオストロの城での序盤のカーチェイスシーン。
フィアットの小さな灰皿に山になっているシケモク。一本つまんで口にくわえる。生きるか死ぬかのデッドヒートのさなか、ニヤリと笑みを浮かべながらひん曲がったタバコに火をつける。流れる紫煙――。
これを格好良いと言わずになにを格好良いと言うのだろうか。まさしくハードボイルドの極みですよ!
ルパン三世は一見すると三枚目ギャグなところがあるし、緊迫したした場面でもニヤニヤしてるから、緊張や興奮が伝わり難いところがあるのかもしれないけれど、生きるか死ぬか――こんな場面で冗談を言うのはアメリカ映画なんかじゃよくあるシーン。
日本の映画やドラマや漫画なんかじゃあまり見かけないですけどね。(銀魂とか四六時中ニタニタしてますがね)
あたし的には、生きるか死ぬかでジョークが言えるかどうかが、ハードボイルドの境界線です。
年齢的なことを言うと問題が多いので伏せておきますが、はじめて吸ったタバコはショートホープでした。
幼なじみでとっても仲良くしていた男の子がいるのですが、その子のお父さんがタバコが大好きだったんです。
お互いの親同士がとっても仲良しだったのもあり、しょっちゅう遊びに行っていたんですよ、その幼なじみの家に。
不良パパでね。昼間に遊びに行っても家にいたりしたんですよ。
いつも決まって、ジッポーの蓋をカチンカチンと開けたり閉めたりしながら、「よう、元気か?」って言うんです。
自分の息子には二十歳になるまで喫煙も飲酒も絶対に許さん!! ってな勢いなのに、あたしにはタバコを進める不良パパでした。
そのパパが吸っていたタバコがショートホープ。
パパはジッポーをコレクションしていて、あたしにいろんなデザインのジッポーを見せてくれました。
いまじゃ普通に存在するけど、当時じゃけっこう珍しかった(ような気がする?)幅も厚さも普通サイズのジッポーよりも小さいヤツをあたしに見せて、「これはスーツを着たとき用なんだ。小さいし薄いからピッタリしたスーツを着て胸のポケットに入れても目立たないんだ。だけど、オイルがすぐなくなるから、普段用には向いてないんだよなぁ」なんてことを自慢げに教えてくれたり。
塗装もなにもしていない真鍮そのままのジッポーを見せてくれて、「ほら、ここに青サビが出てるだろ? これが出て古臭い感じにならないと格好良くないんだよ」などなど。
パパはいつも楽しそうに嬉しそうに、そしてとっても自慢げにジッポーのコレクションをあたしに見せてくれました。
あたしはその都度、子供のように(実際子供でしたがね!)目をキラキラと輝かせて(いたはず!)パパの話を聞いていました。
パパがタバコサイズの葉巻を吸っていたとき、とっても香りが良くてあたしも真似して一本吸ったことがありました。葉巻は煙を肺に入れないってことを知らなかったあたしは、タバコと同じように吸い込んでパパに笑われたのを覚えています。それがきっかけで、葉巻と葉巻を楽しむための小道具に興味を持ったこともありました。
なんにせよ幼なじみのパパは、見た目はデブっちょでハゲ頭で背も低いし歯も抜けてるし、レイ・チャールズが間抜けになったみたいな顔をしていたけど、あたしにとってはとってもとってもダンディーな素敵なパパでした。
中学生の頃だったかなぁ。
プラトーンって映画を見たときでした。
アメリカ兵のヘルメットにKOOLというメンソールのステッカーが貼ってあったんです。
当時日本では、KOOLはまだあまりメジャーなタバコではありませんでした。そもそもメンソール自体があまりメジャーじゃなかったし、ほら、メンソールを吸ってるとイ◯ポになるとかね……。(爆)
不感症になるとかって言われてた時代ですからね。女性用に細いメンソールとかあったし、ニコチンもタールもとっても軽いメンソールが数種あったくらいでした。
そんななかで、堂々と高純度なニコチンとタールを保有しつつもメンソールだったのが、KOOL!!
のちに、KOOLがベトナム戦争でアメリカ軍の配給タバコになっていたことを知るあたし。
バンドマンはみんな、キャメルを吸っていたし、当時の流行りはろくでなしブルースって漫画の影響かマルボロかラッキーストライク。ちょっと気取った人だとあぶない刑事の舘ひろしよろしく赤ラークのロング。カタギから外れた系に憧れている人はパーラメントロングだったし、KOOLなんて吸っている人は知り合いはもちろん、街行く人をずっと観察していても全く見かけないくらいにマイナーなタバコだったのです。
当然、普通の自動販売機じゃ売ってなくて、種類の多い大きな自動販売機まで買いに行かないといけなかったんだけど、あたしはKOOLを吸うことにしました。
大人になって、ある時バンド関係の知り合いでKOOLを吸っている人がいたんです。もうこのころにはメンソールがタバコ業界を制圧する勢いでのし上がっているときで、クラブなんかじゃメインで売られていたKOOL。サーファー系の人もけっこう吸っていたし、メンソールではマルボロと並んで王道となりつつあったわけですから、その知り合いがKOOLを吸っていたことにあたしはまったく興味を示すことがなかったのだけれど、知り合いの方はそうでもなかったみたい。
「しのぶ、女でKOOLって珍しいよな。しのぶの音楽性からして、やっぱベトナム戦争がらみ?」
なんとまぁ、あたしの趣味が伝わる人がいたことにちょっと感激した瞬間でした。
ちなみにKOOLはブリティッシュ・アメリカン・タバコ社の製品で、KOOLは世界初のメンソール・タバコです。
同社で有名なタバコといえば、次元大介が愛飲していたポールモール。日本ではケントやラッキーストライクなどが有名でしょうか。
KOOLとは、Keep Only One Loveの略でして、ひとつの恋を貫き通すって意味になります。まぁなんとも、あたしにぴったりな!(え?……な、なんでもありません)
ハードボイルド的なタバコというと、マルタの鷹のサム・スペードは時代の影響もあり、葉と紙が別々のタバコを吸っていました。紙に葉っぱを適量載せて、自分で丸く巻いてから紙の端っこをペロっとなめて接着。この一連の動作を小説ではサムがタバコを吸うたびにしっかり描写されているわけですが、これはハッキリ言ってハードボイルド系の小説ではとっても有利なことです。
ハードボイルド小説では極力感情描写をしないのが主流。背景描写もチャンドラーの小説なんかは多いけど、一般的にはあまり多くなく、基本的には行動描写のオンパレードなわけであり、行動から感情を読み取るのがハードボイルド小説の鉄則。
サムがタバコをクルクルと巻くシーンの描写は、文字数的な間合いも程良いし、イライラしているときならそのじれったさが伝わったり、深く考え込んでいるときならとってもゆっくりと思慮深げな空気が伝わったりと、毎度同じ描写の繰り返しなのに毎度違う感情が感じ取れる素晴らしいものでした。
一方、あたしの小説では――『おれはタバコに火をつける』
はい、ただこれだけ。(笑)
うーん、簡潔なのはいいけど、なんの感情も伝わりませんな。
まぁ、あたしの小説の主人公、片桐君はヘビースモーカーですから、タバコに火をつけるのに余計な感情もへったくりもないんですけどね。
タバコで思い出深い作品といえば、太陽にほえろのボギー殉職関連でしょうか。
ボギーが不自然な格好で倒れて死んでいるのを、現場写真から見てとった山さん。犯人が捨てて行ったタバコの発見につながり、唾液の血液型からボギーを殺した犯人逮捕につながったわけです。
ボギーといえば、あたしの大好きな世良正則。(関連記事はこちら ラブシーンって呼ぶ? 性描写って呼ぶ?)
なぜボギーだったかといえば、ハンフリー・ボガートの愛称でボギー。
ハンフリー・ボガートといえば、マルタの鷹のサム・スペードを演じた素晴らしき俳優。また、有名な主演作品にはカサブランカがあります。
カサブランカといえば、あたしの大好きな沢田研二の曲、カサブランカ・ダンディ。サビの部分で「ボギー、ボギー」と連呼しておりますが、これもまたハンフリー・ボガートのこと。(関連記事はこちら 阿久悠と日本語 小説表現の関わり)
一連のつながりがあたしのなかでは確立されており、ハンフリー・ボガートを中心に世良正則と沢田研二もまた、あたしにとってはハードボイルドの一員。(笑)
いずれにしても、ハードボイルド作品においてタバコというのはとても重要な存在だったりしますね。
女でハードボイルドというのはなかなか難しいいのか、これと言い切れる存在がありませんが、ハードボイルドに心で寄りそう存在という意味では女が重要。
あたしの大好きな紅の豚でも、タバコに火をつけるマルコの格好良さがしっかりと描かれており、ハードボイルドに翻弄される女たちもまたしっかりと描かれております。
ジーナには本当に憧れます。
誰からも愛される素敵なマダムなのに、空飛ぶ豚に一途!!
こうやって胆略的に書いてしまうと、間抜けな女かと思ってしまいますが、紅の豚ではジーナのこの胆略化してしまうと間抜けになってしまう部分についても実に細かく描かれていて、とても素晴らしい。
フィオがヒロインとして描かれているように思うかもしれませんが、ジーナこそこの作品のヒロインだとあたしは思います。
欲を言えば、マルコの魔法を解くキスをするのがジーナであってほしかったけど、あの場面でマルコにキスをするような女だったら、あたしはジーナを好きになっていなかったでしょう。
そういう意味でも、ジーナやっぱりかっこいいです。
なんか話がそれましたが、まぁいつものことだしいいか。(笑)
最後に面白い動画を見つけたので、貼って終わりましょう。
それではまた、酒井しのぶでございました。
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2010-11-21T13:14:23+09:00
酒井しのぶ
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酒井しのぶ
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一人の死で大勢が死んだも同然
こんにちは、酒井しのぶでございます。
野沢那智さんがお亡くなりになられたようで、ショックのあまり泥酔してしまったあたしくでございます。
深夜ラジオで人気の野沢那智さん死去
野沢那智といえばやはり吹き替え声優としての知名度がなによりも高いわけです。
一番有名なとこ...
野沢那智さんがお亡くなりになられたようで、ショックのあまり泥酔してしまったあたしくでございます。
深夜ラジオで人気の野沢那智さん死去
野沢那智といえばやはり吹き替え声優としての知名度がなによりも高いわけです。
一番有名なところだとアラン・ドロンでしょうか。
ダイハードで有名なブルース・ウィリスも野沢那智ですね。
あたくしの大好きなゴッドファーザーのアル・パチーノも野沢那智。
アウトブレイク、卒業、レインマンなどで有名なダスティン・ホフマンも野沢那智。
スターウォーズのおちゃめなこいつだって野沢那智。
アニメでは、エースをねらえの宗方さんや、ガラスの仮面の真澄さま、スペースコブラのコブラなんてのはもうハマり役としかいいようがないし、クレヨンしんちゃんの映画ではハイグレ魔王の声も担当していた野沢那智。
ほかにもあげればきりがないほど膨大な吹き替えやアニメ声優を担当されていたわけですが、二枚目から三枚目、変人から狂人からロボットまでなんでもこなす素晴らしい声優でございました。
そんな野沢那智さんの吹き替えで、あたくしが一番すきだったのが、まえにもこのブログでご紹介しました、ナッシュ・ブリッジスのドン・ジョンソンの声。
懐かしの海外ドラマ(アメリカ産限定!)その二
ジョー役の青野さん(ちびまる子のおじいちゃんね)も体調を崩されているようですし、もう二度とナッシュとジョーの掛け合いが聞けないのかと思うと、残念でなりません。
ルパンの声優をなさっていた山田康雄さんが亡くなられたときもショックがおおきかったですが、考えてみれば大御所声優陣さんたちはみな、もうかなりのご高齢。ドラえもんのように声優を一変させたり、サザエさんのように少しずつ声優を入れ替えていたりと、声優業界も世代交代がなされていくのは仕方のないことなのかもしれません。
とはいえ、映画でもドラマでも日本語吹き替えが大好きなあたくしとしては、野沢那智さん一人が亡くなられたことにより、彼が担当していた俳優全員が死んだも同然なわけです。
ドン・ジョンソンとジャッキー・チェンとコロンボだけは吹き替えじゃないと納得いかないあたくし。(あ、スタートレックもだった)
いずれにせよ、野沢那智さんのご冥福をお祈りするとともに、今後の吹き替え声優さんに野沢那智さんのような個性豊かな素晴らしい逸材が登場してくれることもあわせて祈りたいと思います。
それではまた、酒井しのぶでございました。]]>
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2010-10-31T09:53:39+09:00
酒井しのぶ
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くそったれなこの世とくそったれなあたし――新宿はいつも笑っている
mixiにて、その昔こんなことがあった。
いつもこまめに、あたしの書いた記事にコメントをくれたり、メッセージをくれたりする友人がいたのだけど、あたしのほうはのんきなスタンスで、気が向いたときに返事をする程度、その友人のページを訪れてもこれといったアクションをしないことがほとんどでいた。
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いつもこまめに、あたしの書いた記事にコメントをくれたり、メッセージをくれたりする友人がいたのだけど、あたしのほうはのんきなスタンスで、気が向いたときに返事をする程度、その友人のページを訪れてもこれといったアクションをしないことがほとんどでいた。
ある日、その友人から怒りのメッセージが届いた。
「ログインしてるし、うちに訪問もしているのに、なぜ返事を書かない!!」
な ぜ っ て あ ん た 面 倒 く さ い か ら に 決 ま っ て る じ ゃ な い !
とは言わなかったけどね。
この友人はmixi中毒だった。(いまはどうだか知りません)
四六時中ケータイ片手にmixiチェックをしていて、マイミクさんのページへ訪れてはメッセージを残し、返ってきたメッセージに返信をする。mixiがないと生きていけない体になってしまっているとしか思えないほどに、依存しているようだった。
それはべつに悪いことじゃないのかもしれない。仮に悪いことだったとしても、個人がそれで満足しているのなら、それはそれで良いのかもしれない。
だがしかし――
あたしにまでそれを要求するのはやめてほしい。
丁重に超長文&超駄文で文句を言って、マイミクから外させていただいたのだけど、その後もずっと怒りのメッセージを連射されつづけ、あたしはmixiを一度退会して新たに登録し直すはめになった。
まったくもってやれやれである――
まぁそれはそれでいい。
そういう人と知り合ってしまったあたしの残念な運を嘆けばいいだけのことである。
最近あたしは、過去に思いっきり中毒になっていたネトゲなるものに復帰している。
ネトゲの中毒性はタバコやお酒の比ではないと思う。マリファナ、いや――覚醒剤くらいの威力はあるであろう。
体が壊れることがないから、あまり問題にならないのかも知れないが、いわゆるネトゲ廃人と言われる人たちの多くは、いまやっているネトゲがサービス終了になったらどうするのかとの問いに対し『自殺する』と答える。
逆に言えば、サービス終了で自殺に至るほどにのめり込んでいる人を廃人と呼ぶのかもしれない。
そういう意味じゃあたしは、ネトゲに限らずネット全般にかなり依存しているとはいえ、自殺しようとは思わないので廃人ではないのか。
どうせなら、廃人と呼ばれるほどにやり込んでみたい気もするけど、廃人になるためにはそれはそれで多大な労を要するのだろう。あたしのようないい加減な人間は廃人にすらなれないのである。
いいのか悪いのかわかりませんがね――
いずれにせよ、先日そのネトゲにて、チャットを楽しんでいたところ『ゲームのやり過ぎを家族に咎められ、データを消されたかなにかした人が自殺した』というニュースの話題になった。
その人の遺書にはこう書いてあったらしい。
――世界が壊れたので旅に出ます――
その話に対して、あたしはこんな突っ込みを入れた。
壊れたのは世界じゃなくあなたの『脳みそ』ですよ
それを聞いていた友人が、あたしに突っ込みをいれた。
せめて『心』と言ってほしかった……。
ネトゲのなかでも、くそったれな発言や表現が多いあたしであった――
そんなわけで、しのぶのやつネトゲばっかしてるからブログの更新もせず、小説も書かないでいるのか、ボケナス!! なんて思っている人もいるでしょうが、そんなことはありませんよ。
単純に、行き詰っているので息抜きしているだけでございます。
小説の舞台である新宿をブラブラしたりもしております。
新宿って面白い街だなぁ――って改めて思ったりすることも多く、まだ書きかけの小説の舞台を公表するわけにはいかないのでお茶を濁しておきますが、舞台にしてる場所や、モデルにしている建物などを徘徊しては「あー、頭のなかで描いていたのとちょっと違ったなぁ……」なんて思ったりして、すでに書いた部分を描き直したり、新たなインスピレーションを沸かせたりしては、プロットをいじり直したりしつつ、書くことよりも、創造することを楽しんでおります。
ハードボイルド小説は一般的に、推理小説というカテゴリーのなかに属しているわけですが、推理という要素がないと成り立たないのか? という疑問にぶち当たっているあたしです。
たぶん成り立つだろうし、おそらくはハードボイルドとミステリーは異なるものだと思うのだけれど、ハードボイルドの成り立ちが推理ミステリーというジャンルから生まれているせいもあり、そう簡単に切れない関係となってしまっているのでしょう。
あたしは今回、これをなんとか切り離してみたいと思っている。
いい歳してなにを言うのかボケ! と思うかもしれなけれど、ハードボイルドだからこその恋愛ってものを描いてみたい気分になっている今日この頃。
長々とわけわからないことばかり書いてしまいましたが、新宿を歌ったあたしが大好きな歌をお届けして、今日は終わりにしましょう。
それではまた、酒井しのぶでございました。]]>
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2010-10-11T20:42:38+09:00
酒井しのぶ
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酒井しのぶ
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珍 朱孔って誰だ?
mixiのつぶやきでのこと。
珍 朱孔という名前の主人公を題材にハードボイルドが書けないだろうかと言う話になった。
なぜそんな話になったかはよくわからない。
ちんすこうがどうたらこうたらとつぶやく輩が数名いたのは明らかなのだけれど。(笑)
珍。
中国系ですね。
...
珍 朱孔という名前の主人公を題材にハードボイルドが書けないだろうかと言う話になった。
なぜそんな話になったかはよくわからない。
ちんすこうがどうたらこうたらとつぶやく輩が数名いたのは明らかなのだけれど。(笑)
珍。
中国系ですね。
中国を舞台にすればそれなりのものが書けそうだけど、中国には行ったことがないので、描写などがまったくできない。(まぁあたしの作品はもともと描写が少ないんですけどね)
面白そうだなと思うのは、L.A.あたりを舞台に、チャイナタウンで探偵をする主人公と言ったところだろう。それなら現実にもチャイニーズ探偵はいそうだし、小説にするのにはそっちのほうが中国を舞台にするよりわかりやすいのだろうけど、これにはあたしの書く世界観的に問題が多い。
あたしの描く世界は、差別と偏見のかたまりであるのが前提であり、それらがもたらす肉体的精神的暴力が不可欠だからである。
つまり、アメリカを舞台にしてしまえば、白人至上主義が底辺になり、黒人はニグロ呼ばわりされなければならず、チャイニーズは日本人と同じで、良く扱われたとしてもメキシカン系列レベルが限界なため、タフで頭脳明晰で二枚目で女にもてる私立探偵に仕立てあげるのは無理なのだ。(あくまでもあたしの書く世界の話です)
たとえ日本を舞台にしたとしても、それはあまり変わらない。
日本にもチャイニーズに対する差別は存在し、あたしの書く小説では、そう言ったオブラートで包んで隠しながら何食わぬ顔でニコニコと愛想笑いをしている日本人を描いているわけではないからだ。建前を全面に出して愛想笑いをしていては、ハードボイルドにならないのである。
だから中国人を主人公にするのはなかなか難しい。
でも、珍ではなく金ならなんとかなるかもしれない。
新宿にはコリアンタウンがある。朝鮮系の暴力団も昔からある。
だがしかし。
ジョジョの奇妙な冒険がそうだったように、あたしもやっぱり日本のヤクザを描く気にはなれない。
主人公を日本人にして、舞台を日本からのスタートにしたのにも関わらず、登場したのはコテコテのイタリアンマフィアだったジョジョの奇妙な冒険。
あの作品に和風テイストは似合わない。
あたしの作品もそうでありたいし、それを目指したい。
たとえ舞台が新宿でも、ロサンゼルスやラスベガスや、はたまたマイアミやテキサスあたりの香りが漂う作品にしたいものだ。
極道、ヤクザ、暴力団。
呼び方はいろいろだし、厳密にはどれも違いがあるのかもしれないけれど、いずれにせよこれらのグループには『掟』なるものがある。
マフィアにも当然ある。
この『掟』こそが、お国柄がとてもよく出るものであり、日本のヤクザはどうしても和風テイストになってしまう。
ジョジョの奇妙な冒険ではヨーロッパテイストだったし、アメリカだったらアメリカンテイスト。
だからあたしは、自分の作品にはヤクザや暴力団と言ったものを登場させない。話の流れとして話題に出ることはあるけど、登場人物としては存在させないのである。
サンフランシスコではなく、ロサンゼルス。
ハイダークタウンあたりか、そうじゃなきゃ街のど真ん中。少し外れてハリウッド。
ハリウッドはいまでこそ映画界の中心であるけれど、はじまりは違った。
オンボロの廃墟だらけで、ポルノ映画の撮影に使われる程度だったのがハリウッド。ポルノじゃなきゃB級以下の映画、特に超Z級映画ではよく撮影に使用されていた。
映画界にも労働者組合なるものが出来だし、ハリウッドは徐々に映画の中心地となっていった。といっても実際には、低級映画やポルノ映画で食いつないでいた映画監督たちが作った映画のなかからヒット作が出だしたことで、ハリウッドは発展してきたのである。
幼稚園児でも書けそうな低級シナリオと同性愛者や浮浪者たちを俳優に従えた超低予算映画と、マニアでも吐いてしまいそうな超ハードコアポルノこそが、有名映画監督を生み出したのだし、ハリウッドにおけるすべての底辺になっていたのである。
ラスベガスはショービジネスの街である。もともとはハワード・ヒューズが買い取ってカジノができるホテルを作ったわけだけど、そもそもカジノはキューバでマフィアが経営していたのだし、カストロ政権のあおりでCIAがキューバ難民を従えてカストロ暗殺に乗り出したのも、カジノを国営化されてしまい腹を立てていたマフィアたちの後押しがあったからできたわけである。
でもしょせん、CIAとマフィアでは一国の主を暗殺するのには無理があったのだ、けっきょくはハワード・ヒューズがラスベガスを買い取り、黒人にだけ麻薬を売る商売をはじめ、それにマフィアが参加する形でいろいろなことが収まった。
マイアミはワニの沼と鮫狩り。どちらもあたしの大好きな生き物たちだ。
マイアミバイスのようなハイでハイソでハイカラな街並みとセレブ。
だけどカストロ暗殺の拠点だったのもまたマイアミである。見た目とは裏腹に暗雲立ち込めるのがマイアミ。
そしてテキサス。
言わずと知れた、ジョン・ファック・ケネディ(JFK)が暗殺された街。
あたしの大好きな作家は、ケネディの今際の言葉は「プッシー」だったと語っている。
腰が痛いと言い訳して、二分四十五秒で果ててしまうファック大好きJFK。
CIAとマフィアは、ここでキューバでできなかったことを成し遂げた。他国の主ではなく、自国の主を暗殺したのだから。
これらの街には、あたしの大好きなアンダーグラウンドなアメリカがたくさん詰まっている。
「フェラチオはセックスじゃない」という素晴らしき名言を残して去っていったクリントン大統領が、一大ブームを巻き起こした『アダルトチルドレン』もまた、アメリカを象徴するものであり、これはアメリカだけでなく世界中に蔓延するものであるだろう。
アダルトチルドレンとは、もともとは『アルコール依存症の親のもとに生まれた子供』のことを指す言葉であり、こういった親のもとで育った子供には、特有の特徴があることで他との区別を促すために作られた用語である。
現在ではアルコールに限らず『何かに依存、あるいは逆依存している親のもとに生まれた子供』を指す。
たとえば、のび太としずかちゃん。
のび太はしずかちゃんに依存し、しずかちゃんはのび太に逆依存したことで結婚が成立した。
この二人に子どもが出来れば、アダルトチルドレンであるし、アダルトチルドレンの子もまたアダルトチルドレンということになる。
現にのび太の孫のセワシくんは、のび太を教育するためにやってくるわけだけど、これはあからさまに『自分がどうにかしなければ』という、逆依存の表れである。
なにもそう、大げさな話ではない。
誰もが何かに依存して、何かに逆依存しているのだ。
何かに頼らないと生きていけないときもあり、何かに対して自分がいなければダメだと思い必要以上に頑張れるときもある。
あたしの書く小説の主人公は、こういった依存、逆依存を大げさに書いている。
特に親に対して。
親とは人間が生まれて最初に自分の身すべてを捧げて依存する相手である。親への依存や逆依存こそがトラウマを作り、人間形成を成し、人としての深みを作り出すのだ。親への極端な愛情や憎悪、あるいは逆にそれらが全く無いといったことも特異なことであり、デフォルメされたキャラを生み出すほうが面白い作品を作れる小説の世界においては、特徴の濃い人物を形成するにあたって、親との関係がどうだったかという設定は重要なのではないかと、あたしは思っている。
長くなったからここらへんでまとめをしよう。
珍 朱孔。
彼がたとえ生粋のハードボイルドだったとしても、あたしの書く世界には存在できない。
もしも登場するのなら、やられ役だろう。
だからといって、あたし個人には偏見や差別はないですよ。
いや、無いわけじゃない。大なり小なり、偏見や差別はある。
それらを理性で抑え、交流し分かり合うことが人間がほかの動物とは違うところなのであろう。
なにをするのにも、人間は一生修行なのである。
それではまた、酒井しのぶでございました。]]>
小説考察
2010-09-26T14:10:50+09:00
酒井しのぶ
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ダーリンの娘
うちのダーリンには娘がいる。この子はあたしの子じゃない。前の嫁の子である。もう中学生なこともあり、昔と違い別れた父親に会いに我が家へたまにやってくる。
娘が来るのは必ず同じ理由である。
ずばり、お小遣いのおねだり!!
ダーリンはたまにしか会えない娘可愛さに、あたしにも...
娘が来るのは必ず同じ理由である。
ずばり、お小遣いのおねだり!!
ダーリンはたまにしか会えない娘可愛さに、あたしにもよこさないようなお小遣いを渡してしまうのである。
まったくもってやれやれだ。
だからと言って、あたしが旦那の娘を嫌っているとか言うことはまったくない。
むしろ大好きである。
だって可愛いんだもの( *´艸`)
だからあたしも、娘に洋服を買ってあげたり、一緒に食事に行ったりと、いろいろ仲良く遊んでいる。
先日も娘は我が家へやってきた。土曜だったので泊まっていくことになっていたのだけど、基本的な理由はいつもと同じ。
「明日、友達と原宿に行くから、お小遣いちょうだい」
ダーリンはなんだかんだと文句を言いつつも、娘に一万円札を一枚渡していた。
中学生に一万円は大金である。
あたしの頃は数百円でさえ大金だった。学校の帰りにアイスを買い食いするために、ママのカバンから千円札を抜き取ったりして、それが見つかると殺されるんじゃないかという勢いで怒られたものだ。
妹が百円玉貯金をしていて、貯金箱ごと持ち逃げしてから近所の公園で開封したりしていたのがバレたときだって、殺されかねない勢いで怒られたのを覚えている。
その大量の百円玉でショートホープをカート買いしたなんてことは、口が裂けても言えなかった。
あたしの時代は、子供だってタバコが買える無法地帯な時代だったのである。
さて。
ダーリンの娘がやってきたとき、進学の話になった。
高校はどこに行きたいのかとか、大学に行くには塾に通わないとダメだろうかとか、そんな話。
娘はそのとき、こんなことを言った。
「もしも高校に落ちたら、パパの仕事を一緒にするね」
ダーリンは内装職人である。
一応は数人の若い衆を抱える親方、つまり超中小企業の社長である。
最近は、建設業界の職人にも女性の進出は盛んである。ダーリンは娘が自分の会社で働いてくれるということでニヤニヤしつつも、いやいやそういうわけにはいかんだろうと厳しい顔をしてこんなことを言った。
「バカ言うんじゃない。もしも高校に行けなかったら、歳をごまかしてキャバ嬢になれ。そしてパパに貢ぐんだ!!」
ろくでなし。
さらにこんなことも……。
「水商売については、しのぶに聞けば何でも教えてくれるからな」
おいおい……。
まったくもってやれやれである。
あたしと娘は、ダーリンを蹴っ飛ばしてから買い物に出かけ、ダーリン名義のキャッシュカードで洋服をたくさん買ってからイタリアンを食べ、家に帰ってから「そんなになにを買ってきたのだ」と驚くダーリンに言ってやった。
「キャバ嬢になるために洋服をたくさんかったのよ」
「娘の服ならわかるが、おまえの服のほうが多いじゃないか」
「あたしもキャバ嬢になって稼ぐのよ」
「ババアは場末のスナックが限度だぞ」
ダーリンはあたしに蹴っ飛ばされ、その晩のビールはおあずけとなったのである。]]>
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2010-09-22T19:27:30+09:00
酒井しのぶ
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新宿の汚いプールバーでシャンディ・ガフとレッド・ツェッペリン
小さな音量でレッド・ツェッペリンの移民の歌が流れているプールバーだった。
あたしはバーカウンターに一番近い台を借りて玉突きをしていた。仕事帰りだったからハウスキューだったし、ビリヤードがたいして上手くない女友達と、これまたたいして上手くもない女友達の彼氏が一緒で、たいして上手くもないのにあれや...
あたしはバーカウンターに一番近い台を借りて玉突きをしていた。仕事帰りだったからハウスキューだったし、ビリヤードがたいして上手くない女友達と、これまたたいして上手くもない女友達の彼氏が一緒で、たいして上手くもないのにあれやこれやと自慢げにビリヤードの手ほどきをしているのにしらけてしまっていたあたしは、友達が玉突きしているのを眺めながら、バーカウンターでシャンディ・ガフをおしとやかに飲んでいた。一時期はビリヤードでプロになろうかと思うほどに真剣に取り組んでいたあたしにとって、その彼氏のアホ臭い講釈は聞くに耐えかねるものだった。小さな音量のレッド・ツェッペリンに無理やり耳を傾け、二人を視界から外すことに務めるあたし。夏の終わりで、夕立が激しく降ったのにも関わらず蒸し暑さがぜんぜんおさまらない、そんな夜の出来事。
窓際のあたしたちから一番遠い台で、二人の男が玉突きをしていた。
一人はどこにでも売っていそうな安っぽい半袖Tシャツにストレートのジーンズ、黒いスニーカーという出で立ちで、黒い短髪もまったく洒落っ気がない中肉中背のどこにでもいそうな男。コロナビールを飲みながらハウスキューで力任せに玉を突いているあたり、ビリヤードに関してはどう見ても素人。そこそこ上手いとはいえ、どんな状況でも思い切り良く玉を突き、常に手玉にバックスピンをかけたりするのは、素人の証拠だ。
もう一人は台の脇のハイスツールに腰掛け、ウイスキーかなにかをロックで飲んでいた。白い麦わらのテンガロンハットにスカイブルーの銀縁サングラス、ボサボサで中途半端に伸びている錫色がかった黒い髪。紺のタンクトップの上に半袖で花柄の解禁シャツをだらしなく羽織り、色の濃いブーツカットジーンズの裾の先には、蛇革模様で先の尖ったブーツが見えている。大きな水牛を型どったベルトのバックルは、角が長く伸びていて、前屈みになったらお腹に刺さってしまうのではないかと言うほどだ。この男はいったいいつの時代を生きているのかと思うような、古めかしいファッション。ブーツの踵にギザギザの輪っかがついていたり、腰からガンベルトがぶら下がっていたりすれば、西部劇さながらなのになと、そんなことを思いながらあたしはその男を眺めていた。
調子よく玉を突いていた力任せな素人の男が、五番のところで手玉をスクラッチさせてしまい、サングラスの男に向かってニヤリとしてからやれやれってポーズをした。
サングラスの男は、無表情のままでハイスツールからゆっくりと立ちあがり、手に持っていたオールド・ファッションド・グラスの中身を一気に飲み干した。グラスを小さなテーブルに置いて、そのテーブルに立てかけてあったキューを手に取り、ゆっくりと台に近づいた。台の真上に吊るされた照明に男のキューが照らされ、それがハウスキューじゃないのがわかった。黒塗りに白く細い流線のラインが幾重にも描かれ、ジョイントに近い部分に埋め込まれたターコイズが鮮やかに輝く、とても美しいデザインのキューだった。
サングラスの男は、キューの先端にチョークを塗り、台の周りをグルリと一周した。それから落ちた手玉を手に取って、五番をコーナーポケットに狙える位置に置き、上体を高くした姿勢のままなんの迷いもなく手玉を優しく突いた。手玉は五番に当たり、五番はコーナーポケットに、そしてクッションで跳ね返ってきた手玉は六番を反対のコーナーポケットに狙える位置でピタリと止まった。
上手い――あたしたちの台では、だらしなくニヤけた顔の彼氏が女友達の腰に手を回しながらろくでもない講釈を並べているというのに、向こうの台の西部劇から出てきたような男は、プロのような上手さ。
サングラスの男は、六番も簡単に落とし、七番を九番に当ててものの見事にコンビネーションを決め、何事もなかったように無表情のままゆっくりと窓際に歩いて行き、ハイスツールに座ってタバコに火をつけた。テーブルの上のグラスを手に取り、溶けた氷を揺すってから、あたしの後ろにいる店員に向かって掲げて見せたとき、サングラスの男とあたしは目が合った――
あたしはサングラスの男を見たままで、シャンディ・ガフを一口飲み、タバコに火をつけて足を組み替えてからバーカウンターのなかの店員のほうへハイスツールを回し、サングラスの男に背中を向けた。
サングラスの男はあたしの隣にやってきて、店員が差し出したウイスキーかなにかのロックを一気に飲み干し、店員におかねを払って素人の男と一緒に店から出て行った。
一人でバーカウンターに座っているあたしと目が合っておきながら、声もかけないなんて、なんて男だ――むかつく。むかっ腹が立つ。
だけど――
サングラスの男のたいして低い姿勢にならない構えをした時の、キューを握る腕はあたし好みな細マッチョのそれだった。細くしなやかな筋肉、手玉を突く瞬間、キューを握る手に力を入れたその瞬間に浮き出る太い血管。
あたしは女友達とその彼氏の間抜けなやりとりを無視して、ハイスツールから飛び降り出口に向かって歩きだした。それに気がついた女友達があたしを呼び止めた。
「しのぶ、どこに行くの?」
「帰るのよ」
「ええ? あんたまだ一回もビリヤードしてないじゃない。一緒にやろうよ」
「あたしがここでビリヤードをしたら、あんたの彼氏があんたに適当なことばっかり教えているってのが、バレちゃうからやめとくわ」
あたしは、あたしのその言葉を聞いた店員がクスクスと笑ったのを見てから店を出た――スカイブルーのサングラスをした男は、もうどこかへ消えてしまっていた。
さっきまで聴こえていたレッド・ツェッペリンのシンコペーションが、小さな音量だったのにも関わらず耳にしっかりと残り、街のざわめきをリズミカルなパーカッションへと変えていた――]]>
自作小説書きおろし
2010-09-19T16:04:35+09:00
酒井しのぶ
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ギネスビールとカシューナッツ
あたしは言った。「だからあたしは思うのよ。男だって当然、綺麗に着飾ってばっちり化粧した女を横に連れて歩きたいって思うものでしょ?」
天井も壁も床もテーブルもハイスツールも、グラスを磨くバーテンの衣装も、そのバーテンが磨いたグラスを並べているバーカウンターも、ずべてが真っ黒なアイリッシュパブっぽ...
天井も壁も床もテーブルもハイスツールも、グラスを磨くバーテンの衣装も、そのバーテンが磨いたグラスを並べているバーカウンターも、ずべてが真っ黒なアイリッシュパブっぽいバー。ミックスナッツとギネスビールで女同士の会話をするあたしと美智子。
美智子がマカデミアナッツを口に放りこむ。「そりゃそうだろうけど、あんたの言ってることは矛盾だらけだよ。それにぜんぜん対等じゃない」
小さいお皿にちょびっとだけ盛られたミックスナッツからカシューナッツを選んでつまむあたし。カシューナッツの先っぽを伸びた爪で引っかいてから口に放り込む。
「対等? なにがどう対等だって言うの? 男と女なんてどう頑張ったって対等になんかなるわけないじゃないの」
「そんなことないよ。仕事だって男女差別なくできる時代なんだし」
あたしは笑った。「なに言ってんのよ。セクハラだのパワハラだのとわめき散らして権利を主張しているだけじゃないの」
「それは女が不遇だった時代が長かったからよ。当然の権利を主張しているだけなんだし、男たちの怠慢でまともな仕事ももらえないなんておかしいでしょ?」
美智子はギネスビールを飲み干した。バーテンに向かってからっぽのグラスを掲げてみせる。バーテンが静かに頷いて磨いたばかりのグラスを手にビールサーバーに向かった。あたしはタバコに火をつけてゆっくり吸い込みゆっくりと煙を吐いてから一気に言った。「男はみんなね、そういう権利すら主張できずに上司にペコペコと相槌して、やりたくもない仕事を何年も我慢してこなして、バカだの無能だのハゲだのデブだのと罵られて、真夏のクソ暑いときでもネクタイとスーツで汗びっしょりになって、やれ接待ゴルフだって言えば早朝から運転手を買って出て、上司のスコアが悪けりゃご機嫌取りにわざと池ぽちゃして、やれ接待キャバクラだって言えば、楽しくもないお酒を浴びるように飲んで、歌いたくもないカラオケを歌って、店のナンバーワンの女を上司にあてがうためだけにキャバ嬢と会話して、二日酔いで死にそうだってのに翌日はちゃんと出勤して、女房子供に臭いだの汚いだのと罵られながら、来る日も来る日も上司の怠慢に文句一つ言わずに、そうやって何年も何十年もかけて自分のやりたい仕事を手に入れているのよ? あんたそんなことして自分のやりたい仕事を手に入れられる? なにがセクハラよ、なにがパワハラよ。女なんて所詮その程度ってことだわ。対等?? 笑わせるんじゃないわ! 男と女は違う生き物よ。対等なんてありえない。女には見た目や体って武器があるの。生まれ持った武器のない男なんかよりよっぽど優位にいるの。優位な立場を利用しようともせずに、やりたくないことをやらないために文句言ってるのが女って汚い生き物よ! だいたい男たちは誰も彼も、こんな洒落たバーで一杯九百円もするギネスビールをガバガバ飲むなんてできないわ。蟻の鼻くそほどのお小遣いのせいで、お昼ご飯さえまともに食べれないんですらね」
不満そうな顔の美智子。「ギネスビールをガバガバ飲んでるのはあんただけだってば」
「とにかく、あたしが言いたいのはね、男が苦労して偉いとか、女が苦労知らずで文句ばっか言ってるとか、そんなことじゃないのよ」
「わかってるってば」
バーテンがコースターを美智子のまえに置いた。コースターにグラスが置かれ、波々に注がれたギネスビールの茶色い泡がはじけて滴った。美智子はピンクのお財布から千円札を抜いてバーテンに渡した。
「あんたが言いたいのはこうでしょ? デートのときに女がおかねを払うのはありえない」
「そうよ、ありえないわ。おかねなんて男が払えばいいのよ」
美智子は笑った。「あんた言ってることおかしいよ? お昼ご飯さえまともに食べられない男が、どうやってあんたみたいなおかねのかかる女とのデート代を払うの」
あたしはタバコを深く吸い込んで灰皿に突っ込んだ。「そんなの知ったこっちゃないわ。サラ金でも闇金でもコンビニ強盗でも、とにかくあたしを満足させるだけのおかねを用意すればそれでいいのよ」
やれやれってポーズの美智子。「あんたみたいにジュリアナでボディコンからパンツ覗かせて男を誘惑していた女の考えることはわからないわ」
あたしはまたカシューナッツを選んでつまみ、先っぽを爪で引っかいてから口に入れた。「ジュリアナなんて行ったことないわよ。あれはあたしよりもう少し上の世代でしょ」
「あたしはデート代は割り勘でいいと思うけどなぁ。おごってもらう気もおごってあげる気もない、割り勘でいいじゃない」
「男ってのはね、プライドと欲望のかたまりなの。あんたみたいな男女平等とかぜんぜん平等じゃない主張をする女が増えて社会にのさばりだしてるから、プライドも欲望もない情けない男が増えてきちゃってるのよ、わかる? プライドと欲望を満たしてあげるために、あたしは高い服を着て、キラキラにお化粧して、待ち合わせ場所にわざわざ遅刻して行ってあげてるんだから、そっから先はぜんぶ男がまかなうものよ」
「わざわざ遅刻ねぇ――」
「なによ――」
「べつに――でもさ、女だってださい格好の男なんか連れて歩きたくないでしょ? だからやっぱり、男にだって着飾ってほしいし、そうなればおかねもかかるんだから、デート代は割り勘でいいじゃない」
あたしはグラスを手に取ってギネスビールを一口飲んだ。店の奥の大きなプラズマテレビにイングランドかどっかのサッカーの試合が映し出された。白と赤のユニホームの選手が太い足で走っている。
「わかってないわね。男はね、女のためにおかねを使っているというプライドがあるから格好良くなるのよ。割り勘? 草食系? バッカじゃないの!? もっとね、ギラギラとした目で女を見るようなヤツじゃなきゃ男なんて言わないわ!」
「そうかなぁ。草食系もけっこうかわいいよ? まぁたしかに年上で草食系を相手にしようとは思わないけどね」
「あたしたちより年上って言ったら、四十過ぎたハゲ頭のおっさんばっかじゃないの。そんなんで草食系とかありえないわ」
「あら、最近のおじさんたちはけっこうお洒落だよ? うちの会社の汚いスーツ着た上司たちとは大違い。まぁ、あんたの彼氏は格好いいからねぇ。それに比べりゃどいつもこいつも見劣りするのはわかる」
あたしはハイスツールの上で足を組み替えた。白いミニスカートが捲れ上がって赤いショーツが見えそうになった。バーカウンターでグラスを磨いているバーテンがこっちを見ている。あたしはわざとニヤッとしてからミニスカートを引っ張って座り直した。
「あいつが? 格好いい?? あんな時代遅れのテンガロンハットをかぶったヤツが? おまえいつの時代の生き物だよってなブーツカットを履いてるヤツが?? 一年中蛇革のとんがりブーツ履いてるヤツが?? 髪の毛なんかいっつもモサモサだし、Tシャツなんかいっつもヨレヨレだし、あんなのただの酔っ払いじゃないの。それにだいたい、あいつは彼氏なんかじゃないわ」
笑う美智子。「でも、付き合いは長いじゃないの。当然とっくに寝てるんでしょ?」
「寝たら彼氏とか、あんたの思考もおっさん化してるわよ」
「ま、あんたみたいに体を武器に生きてる女もいれば、あたしみたいにその武器を使わずに生きてる女もいるってこと。どっちにしたって、お互いこの歳になってもまだ独身なんだから、偉そうなことなんか言えないね」
独身――いい歳して独身なのは面倒が多い。
結婚――男に生かされて一生を過ごすなんてくそ食らえ。
あたしは美智子があたしの彼氏と呼んだあいつのことを思い浮かべた――いつもスカイブルーの度入りサングラスをしているあいつ。細マッチョな体はあたし好みだけど、無駄にタフガイを気取っているのは腹が立つ。だけどあいつは、いつもそのサングラスの奥でギラギラした目をしている――
あたしは目の前の小さなお皿のミックスナッツから小さなカシューナッツを選んでつまみ、あいつの小さなカシューナッツを想像しながら先っぽを爪で引っかいて口に放り込み、舌でやさしく舐めまわしたあとで思いっきり噛み砕いた――プラズマテレビのなかで筋肉だらけな太い足の選手がゴールを決めて吠えていた。]]>
自作小説書きおろし
2010-08-27T20:09:34+09:00
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ドラマと小説の構成
こんにちは、酒井しのぶでございます。
わたくしはアメリカドラマが大好きです。
アメリカドラマと日本のドラマの違いとはなんでしょう。
一番大きな違いかな? と思うのは、やはりなんといっても一つの作品が完結するまでの時間ではないでしょうか。
日本のドラマでは、現在は1クール...
わたくしはアメリカドラマが大好きです。
アメリカドラマと日本のドラマの違いとはなんでしょう。
一番大きな違いかな? と思うのは、やはりなんといっても一つの作品が完結するまでの時間ではないでしょうか。
日本のドラマでは、現在は1クールが主流となっており、だいたいどの作品も10話前後が主流。
一方、アメリカドラマは現在主流となっているのは、20話から25話くらいでしょうか。
1話につき1時間枠なのは同じですから、倍以上も差があり、必然的に話の作り方にも違いが出てきます。たとえば連続ドラマと映画の違いのように。
この差が生むものと言ったらなんでしょう。
アメリカドラマでは、1話完結の作品がほとんどです。たとえば刑事ものなら、毎話事件が起こり、その都度解決します。
ですが、シーズンとしての話の長さゆえに1話完結の話とは別に全話を通して進行していく大きくて遅々たるストーリー展開もあります。
この大きなストーリー展開が、日本のドラマではなかなかどうして上手く行かないように思います。
理由は簡単で、時間の問題ですね。
日本のドラマも昔は、半年とか一年とかのシーズンドラマがありました。アメリカドラマと同じで、1話完結の話で構成され、全話を通した大きな展開があるものもありました。
いま日本でこの展開を引き継いでいるものと言えば、シリーズもので言えば、ヒーロー戦隊と仮面ライダー、それに美少女戦隊ものでしょうか。
その他アニメなどはどれもすべて、この仕組みに則って作られていますが、これらには弱点があります。
30分番組。
うん、30分枠というのはたとえば、1年やれば50話なのだから、1時間番組を半年やるのと同じだろうと思ったら、大きな間違いです。
毎話、完結とまではいかなくても、起承転結をつけなければならないわけで、1時間作品に起承転結をつけるのと、30分番組に起承転結をつけるのでは、話がぜんぜん違います。
さらにいえば、ヒーロー戦隊だったら、毎回必ずロボットでの戦闘シーンを出さなきゃいけないとか、仮面ライダーなら変身しなきゃいけないとか、しばりがあったりしますしね。
仮面ライダーは、どうしてもしばりが必要なら、1時間番組にして30話くらいが妥当かなと、いっつも思うわたくしです。
30分番組では、1話ごとに深い内容を作るのは難しく、逆に50話という長さのおかげで、最初から最後まで一貫した大きな流れは構築しやすいという強みはあるのでしょう。
最近の日本のドラマは、観ていてどうしても展開の速さや唐突さに、不自然さや深みのなさを感じてしまいますが、これもやはり1クールという短さが原因でしょうね。
どちらにせよ、固定ファンが付きやすいのは、戦隊ものやアニメ番組であり、作品の内容よりも役者や雰囲気に傾倒しがちなのがテレビドラマであるというのも、この時間の長さという部分が関係しているのかもしれません。
さて、これら1話ごとの時間と構成、それに全何話かで、話の作りがずいぶん違ってくるのがわかったかと思います。
じつはこれ。
小説でも同じことが言えます。
一冊の小説には、部、章、節が存在します。
呼び方は人それぞれ(作品の性格や作者の意向による)ですのでなんとも言えませんが、一般的にはこんな感じでしょうか。
部:
第一部、第二部と称され、それぞれにサブタイトルがある場合もあります。またこれを章と呼び、章を話と呼ぶ場合もあります。
章:
部のなかの区分けで、第一章、第二章(あるいは第一話、第二話)などと数字で表記されることが多いですが、サブタイトルが付く場合もあります。
節:
章のなかの区分けで、一行、あるいは二行程度のスペースを開けることで表記することが一般的ですが、数字やタイトルを付ける場合もあります。
これらの区分けは、どの作家も必ずと言っていいほど行っていますが、それぞれの名称や表記の仕方は人それぞれで、小説は公文書などとは違うので、決まりがあるわけでもなく、作品の彩りの一つとして利用される点においても、作家の趣旨や嗜好に委ねられるものですが、基本としては上記のようになっていると思ってもらっていいでしょう。
ちなみに、わたくしの作品ファッキン・シスターズ・クライストには、部による区分けはなく、また節による区分けもありません。章による区分けのみで構成し、それぞれの章にタイトルはありません。
これは、わたくしの好きなレイモンド・チャンドラーの作品の書き方を真似してのことですが、チャンドラーに限らず、当時のハードボイルド作品の多くは章のみの表記が多く、これはおそらく当時のハードボイルド作品の多くが、雑誌連載のために書かれていたことに関係しているのではないかと思います。
それに、一人称のハードボイルド(あるいは三人称でも主人公視点のみ)では、ハードボイルドがいちいち部や章にタイトルをつけるなんて、洒落たことをするはずがないという、作品の傾向が反映されているのかもしれませんしね。
ともあれ、わたくしはこの書き方が好きなので真似しているわけですが、これはテレビドラマで言うところの『話』にあたる書き方であるとも思っているので、本ではなく映像が主流の時代に向いている書き方だと、勝手に思いこんでいるのです。
今後の作品では各話ごとの起承転結や、全体の流れ、それに文字数やページ数の統一などもしていければなと、思ったりしています。
とまぁ、かたっくるしいことを書きましたが、単にタイトルが思い浮かばないだけってのが実際のところでしょうかね。(爆)
適当にタイトルを付けるくらいなら、無機質に数字にしたほうがハードボイルドらしいですしね。
そもそも小説そのもののタイトルすら、考えるのが面倒だっ……い、いえ、そんなことはありませんよ!
ちゃ、ちゃんと考えてタイトルを付けております!(笑)
なんか、なにを話したいのかさっぱりわからないことになってしまったので、終わりにしましょうかね。
毎日それほど忙しいというわけではないのですが、外出することが多くなりまして、落ち着いてパソコンの前に座ることが少なくなってしまいました。
更新が遅々たるものになってしまいましたが、今後ともよろしくお願いいたします。
本日の「しのぶが思うハードボイルド」
感情なんか書くことない。
以上でございます。
それではまた、酒井しのぶでございました。]]>
小説考察
2010-05-19T16:10:30+09:00
酒井しのぶ
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酒井流『うさぎとかめ』
こんにちは、酒井しのぶでございます。
わたくしたちは幼少の頃から常日頃、道徳というものについて学びます。
知らず知らずのうちに学んでいることがほとんどで、そのほとんどは童話などからの影響が大きいんじゃないでしょうか。
たとえば『うさぎとかめ』とか。
のろまをバカ...
わたくしたちは幼少の頃から常日頃、道徳というものについて学びます。
知らず知らずのうちに学んでいることがほとんどで、そのほとんどは童話などからの影響が大きいんじゃないでしょうか。
たとえば『うさぎとかめ』とか。
のろまをバカにしたウサギに決闘を申し込むカメ。
そして、ウサギは途中で道草をくって、お昼寝しちゃってカメに負ける。
このお話でわたくしたちが学ぶことといえば『継続は力なり』という格言でしょう。
遅々たる歩みでも、進み続けることに意義があるといったことなのかな。
うん、たしかにいい教えだと思います。
小説家というのは、ときに他人の作品をプロット解剖したりします。
わたくしのように、妄想が激しい人間は特に、こういうことをするのが好きです。
プロット解剖をしたのあとに、自分でストーリーを組み立てるのもまた、楽しみのひとつだったりします。
プロットというのは小説の骨組みみたいなものです。わかりやすく説明すると、連想ゲームなどでよく使う『いつ、どこで、だれが、なにを、どうした』という場面構成の組み合わせになります。
仮に『桃太郎』にこれを当てはめてみましょう。
いつ:
むかしむかし
どこで:
あるところで
だれが:
おじいさんとおばあさんが
なにを:
桃を
どうした:
割った
うん、単純ですね。
でもこれがプロットなるものです。
さらにこれを細分化すると……。
いつ:
むかしむかし
どこで:
川で
だれが:
おばあさんが
なにを:
大きな桃を
どうした
拾った
となりますね。
さらに……。
いつ:
むかしむかし
どこで:
あるところで
だれが:
桃太郎が
なにを:
キビ団子を
どうした:
犬と猿とキジにあげた
なんてことになります。
こうやってそれぞれの場面を単純化して、それを組み合わせていったものがプロットの集合体となり、小説の骨組みが出来上がるわけです。
プロットというのは基本的に、時間軸にとらわれています。
昨日の出来事が今日の出来事のあとに来ることはありません。
過去 → 現在 → 未来
この流れにのっとった年表形式になるのが一般的です。
一方、ストーリーはこれにとらわれません。
有名な映画『タイタニック』などが好例ですよね。
現在からはじまり、過去の思い出話をして、また現在に戻るというストーリー展開になってます。
また、プロットには主人公設定がありません。
ですので、わたくしの作品のように一人称で書く小説であっても、プロットの段階では主人公視点の構成にはなりません。
主人公が見たり聞いたりすることができないことでも、書かれていくのがプロットとなり、それはつまり、主人公は知らずとも作者は知っていなければならならことが書かれていくわけです。
逆にストーリーを練るときには、これらの主人公が知らないことに配慮して、主人公中心のストーリーを展開させていく必要があります。
では、これらを踏まえて『うさぎとかめ』をプロット解剖してみましょうか。
まずは大雑把に。(わたくしが知る限りとなるのでかなりいい加減ですけどね。笑)
その一:
いつ:
いつだろう? 大昔ねきっと。
どこで:
どこだろう? べつにどこでもいいんだろうねきっと。
だれが:
ウサギが
なにを:
カメを
どうした:
のろまだとバカにした
その二:
いつ:
いつだろう?(笑)
どこで:
どこでもいいのよ!(笑)
だれが:
カメが
なにを:
ウサギに
どうした:
決闘を挑んだ
その三:
いつ:
いつだろう?(笑)
どこで:
だからそこでもさぁ……。(笑)
だれが
ウサギとカメが
なにを
それぞれのプライドをかけ
どうした
かけっこ競争した
その四:
面倒なので、ここからはちょっとまとめます。
どうまとめるかといえば、『楽勝とたかをくくったウサギが昼寝をして、カメがそれを追い越して勝った』ってなるんでしょうかね。
とまぁ、これが基本プロットとなって、これにセリフや描写や心理や背景が付け加えられて『うさぎとかめ』のストーリーが作られるわけです。
話そのものはとても単純なので、時間軸を入れ替えたストーリー構成にする必要性はあまりありませんが、書く人によっては、こんな書き出しもありですよね。
おれはあの日、ウサギの野郎との男の勝負に勝った。
ウサギの野郎は、おれをバカにしやがって、おれはとてつもなく腹が立っていた。
おれはウサギをぶちのめしてやらなきゃ気が治まらなかった。あの天狗のように伸びた鼻をへし折ってやらずにはいられなかった。だからおれは、あえて野郎が得意の走りで勝負を挑んだ。
なんて、ちょっとハードボイルドなカメにして、なおかつかけっこ勝負が終わったあとからはじめる『タイタニック』のような書き出しもアリです。(笑)
そしてさらに、プロットさえいじらなければ『うさぎとかめ』なことに変わりはないので、ストーリーに少し色をつけるのもアリとなります。
たとえばこんなね。
ウサギの野郎、おれが走り勝負を挑んだら鼻で笑いやがった。そりゃそうだろう、野郎はこの山で一番の早足だからな。逆におれはこの山一番の鈍足。普通に考えりゃ、おれに勝算はない。
だがしかし、おれはバカじゃない。勝ち目のない勝負なんて挑んだりしない。ウサギの野郎はおれの策略に気がついていない。おれにはしっかり勝算がある。
おれが挑んだ勝負は、半日がかりの長距離勝負だ。ウサギの野郎は短距離ランナー。長距離ならおれにも勝算はある。それにあの野郎は、飽きっぽくて気が短くて、なおかつ怠け者だ。半日もかかる勝負で真面目に最後まで走り続けるなんて、絶対にありえない。
脳みそがプリンでできているバカなウサギは、おれのしたたかな策略に気がついちゃいない。
まったく、どっちがまぬけ野郎だかわかったもんじゃないぜ。おれはこの勝負に勝ち、のろまでまぬけの汚名を消し去り、この山一番のナイスガイにのし上がってやる。
さらにこんな背景があったりするととっても面白いです。
おれとウサギの勝負は、たいした楽しみもないこの山の一大イベントとなった。ギャンブル好きなイタチの野郎は賭場を開き、山の動物たちはこぞっておれとウサギにかねを賭けた。
オッズは二十対一でウサギの勝ちってことになっている。どいつもこいつもみんなウサギに賭けてしまうものだから、賭けが成立しないと、イタチの野郎は嘆いていた。おれは土地の権利書とお気に入りの四十八年型マーキュリー・クーペを売っ払って、さらに銀行からかねを借りて、そのすべてを友達のネズミに渡し、おれに賭けるように頼んだ。
ネズミの野郎に分け前を払ってやったとしても、おれが勝てば億万長者は確定だ。
あとは、すでにかねで買収したウサギの愛人を使って、勝負の前日にたらふく酒を飲ませ、走る余力もないほどにファックさせておけば完璧だ。
おれの勝ちは決まり。ウサギは鈍足のおれに負けて、惨めにこの山を去るしかなくなる。
おれは億万長者になり、地位も名誉もかねも女も、なにもかも自由にできるようになる。
脳みそが腐った豆腐でできたウサギ野郎をぶちのめすだけで、おれの人生は大きく変わるんだ。いままで地味に目立たず生きてきたが、それももう終わりだぜ。
ここまでくると、どうやらカメはいいヤツじゃなさそうです。(笑)
ていうか、さきほどプロット解剖のときに手を抜いて書かなかった時代背景ができてますね。
四十八年型のマーキュリー・クーペが高く売れるってことは、一九五〇年前後でしょうし、話の流れ的にアメリカで、山に住んでいるのにマーキュリーってことは、街が近いってことでしょうし、さらにこの時代にマーキュリー・クーペに乗るのは黒人が多かったことを考えると、カメは黒人なのかもしれません。(爆)
ウサギは白いでしょうから、黒人をバカにする白人ってことになり、わたくしが勝手に登場させたイタチとネズミは、マフィアのボスと下っ端のチンピラって感じでしょうかね。
ウサギの愛人はカメの買収に簡単に乗るわけですから、アバズレ確定だし、これでウサギが警官で、カメはマフィアの一員だったりすれば、まぬけな警官がマフィアにはめられるってな図式が完成しちゃいます。(笑)
あらあら、わたくしがストーリーを作ると『うさぎとかめ』はこんな道徳に反したものになってしまうわけですね。(笑)
そして最後はこんな感じで終わらせば、話はもう完璧にアメリカンアンダーグランドな『うさぎとかめ』になります。
一九六三年のダラスで、ジョン・ファック・ケネディがドリアンでできた腐った脳みそをぶちまけたときには、イタチと祝杯を上げたもんだ。ウサギの野郎は、おれに走り勝負で負けたあと、山を下りてマフィアのパシリに成り下がった。テキサスでのんきに暮らしていたウサギだったが、ヘロインの調達に失敗してマフィアに大きな借りを作っちまったのが原因で、オズワルドをぶち殺す役目を与えられた。野郎は豚箱のなかでもずっとマフィアに怯え、癌で死ぬまでなにも話さなかった。そういう意味じゃたいしたヤツだったのかもしれない。
おれは億万長者になり、マフィアの後押しでハワード・ヒューズに取り入り、ラスベガスでホテル経営をはじめた。モルモン教のドラキュラになっちまったハワードは黒人のおれを毛嫌いしたが、そんなこと知ったこっちゃない。おれはホテルで黒人相手にヘロインを売り、その収益をハワードとマフィアにくれてやって、悠々自適な生活を送っていた。
ウサギの愛人だった女と結婚したが、それは長く続かなかった。ネズミ野郎とおれのかねを盗んでティファナに高飛びしようとしやがったから、イタチに頼んで殺してもらった。死体はマイアミまで運んでワニの沼に捨てたそうだ。骨まで綺麗に食っちまうクロコダイルがウヨウヨしている沼だから、発見されることはない。
おれは一九六八年のロバート・ケネディ暗殺に関わった。実行犯のサーハン・ヴェシャラ・サーハンを雇ったのはおれだ。
だがおれは、ロバートのくそったれなトマトでできた脳みそが弾け飛ぶのを見ずに死ぬこととなった。ウサギの愛人との間にできたおれの息子が、おれがウサギの愛人とネズミを殺させたことを知り、真夜中におれを殺しにやってきた。
銃身を短く切った十二番口径のショットガンが火を噴いて、おれの脳みそは弾け飛んだ。息子はご丁寧に、弾け飛んだ脳みそをかき集めて、おれをマイアミまで運び、ワニの沼に投げ捨てた。
うん、もうまるっきり『うさぎとかめ』は関係なくなってますね。(笑)
ていうか、ウサギがジャック・ルビーになっているし。(爆)
でもまぁ、他人のプロットを利用してストーリーを作るというのは、とても楽しいし、勉強にもなります。
小説家を目指す人がいたら、こんな妄想もしてみるといいかもしれませんよ。
本日の「しのぶが思うハードボイルド」
カメはやなヤツ、ウサギはまぬけ。ハードボイルドは『うさぎとかめ』からこれらを学ぶ。
以上でございます。
それではまた、酒井しのぶでございました。]]>
小説考察
2010-05-12T10:15:45+09:00
酒井しのぶ
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