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しのぶのあっちがわ 小説考察 忍者ブログ
妄想/連想/暴走――激走する脳内モルヒネの意想。 変態ハードボイルド小説作家の有相無相――
酒井しのぶの作品紹介
【ファッキン・シスターズ・クライスト】
 酒好きで女好きで自堕落で格好つけの片桐有二は、二十五年まえに体験したレイプ事件のトラウマに悩まされる、ハードボイルドを気取った私立探偵。ある依頼がもとで、変態性癖が巻き起こす事件に首を突っ込むことになってしまう。高飛車で自分勝手なふしだら女の酒井しのぶと共に、事件の真相を探りだすのだが……推理あり、シリアスありの、本格ハードボイルド長編小説。
 

【あいつとの電話】
 ツンデレコンビのしのぶと有二。小説のなかだけじゃなく、普段の会話も超ツンデレ&超下品でちょっぴりエッチ!
 酒井しのぶの小説に登場する二人が織り成す、会話のみの超ショートショート作品集です。一話読みきりなので、お気軽に読んでいただければと思います。
 

【Shinobu to Yuji 短編集】
 長編ファッキン・シスターズ・クライストの外伝的一話読みきり短編作品集。笑い、切ない過去、素直じゃない愛情、そしてお決まりのエッチな会話。しのぶと有二のツンデレコンビは、殺人事件がなくても面白い。
 

 (注: すべての作品がR15指定です。作品の性格上、性描写、暴力描写、差別的発言などが各所に出てきます。不快に思う人は読まないでください)
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【ボチボチと書き始めています】
 いろいろあり、忙しい毎日を過ごしています。
 書きたい衝動は日に日に増してくるのですが、なかなか時間が作れず、昔のようにすべてを犠牲にして書く勇気もなく、いまは我慢の時期かなと思う今日この頃。
 それでも、書かずにはいられないときもあるので、短いエピソード的なものをチマチマと書いたりしています。
 皆様のところへ訪問する時間はまだなかなか作れませんが、毎日少しづつですが、勉強し精進しているところですので、いましばらくお待ちくださいませ。

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 こんばんは、酒井しのぶでございます。


 マルタの鷹を久しぶりに読みました。
 二年ぶりくらいでしょうか。はじめて読んだのは中学生のときで、あまりの面白さに立て続けに何度も読んだのを覚えています。
 読むたびに違う面白さを見つけることを知り、それ以後わたくしは、気に入った作品は何度も読み返すという癖を持つようになりました。
 数多くの作品に出会うことよりも、気に入った少数の作品に深い思い入れを注ぐ読み方をするようになったわけで、それもこれもすべて、良くも悪くもダシール・ハメットのせいなわけです。(なにかにつけて人のせいにするのは生まれつきです。笑)
 
 ちなみに我が家にいまあるマルタの鷹はこれです。

 ハヤカワ文庫、小鷹信光=訳のマルタの鷹です。

 ですが、はじめて読んだのはこれじゃありません。

 わたくしがはじめて読んだのは、母が持っていたマルタの鷹で、砧一郎=訳のハヤカワ・ミステリ版で、これが初の日本語版です。

 ハードボイルドとの初の出会いであったマルタの鷹ですが、ペイパーバックサイズをはじめて読んだのもマルタの鷹だったというわけです。
 持ち運びにも読むのにもいまいち扱いづらいという印象を受けた記憶がありますが、アメリカっぽくて好きでした。(アメリカ・フェチなわたくし! 笑)


 マルタの鷹は翻訳者がたくさんいます。
 これはハメット作品に翻訳権が発生しなかったせいだそうです。(わたくしのマルタの鷹のあとがきにそう書いてありました。笑)
 
 一応、わたくしが知りうる限りでは、ほかにこんなマルタの鷹があります。
 まずは村上啓夫=訳のマルタの鷹。





 これは鳴海四郎=訳のマルタの鷹です。


 
 わたくしの持っているのと同じ小鷹信光のマルタの鷹は、ほかにこんなのがあります。





 まぁ表紙は当然いろいろあるわけですが、あとほかに田中西二=訳のマルタの鷹があるはずなのです。画像を探してみたのですが、見つけれませんでした。ご容赦くださいませ。
 
 皆さんの持っているマルタの鷹は、このなかにありましたか?(笑)


 さて、ここからはネタばれもあり得ます。筋書きを知りたくない人は読まないでくださいませね。

 
 最初に、二年ぶりに読んだと言いましたが、マルタの鷹はチャンドラーのマーロウ・シリーズの何作品かと並んで、わたくしのパソコンのすぐ脇の本棚にいつも置いてあります。つまり、すぐに手が届く場所に置いてあるわけで、少なくとも週に一度くらいは、本棚からマルタの鷹を取り出しては、ペラペラめくったりくらいはしています。
 
 適当にめくっては、開いたページをサッと読んで、なるほどこうやって書いているのかぁ……などと、ハメットの(小鷹信光の?)文体に感心したりしているわけです。
 
 ご存じの通り、ダシール・ハメットはハードボイルドの父でございます。
 ハードボイルド小説の創始者でございます。
 ハメットがいなかったら、ハードボイルドなんてくそったれなジャンルはこの世に存在しなかったかもしれません。(笑)

 ですが、ハメットがハードボイルド小説を書いていた当時、そしてチャンドラーがハードボイルド小説を確立した当時は、まだハードボイルド小説なんて言葉は存在しておりませんでした。
 
 当時の呼び名はこうです。
 
 行動派探偵小説

 なるほど、それまでの探偵小説といえば、ポワロやホームズといった、殺人現場と容疑者の顔を見ただけ(ちょっと大げさ? 笑)で、犯人がわかってしまう天才探偵の思考を紐解いていくような、そんな探偵小説が主流でしたから、それに対してハメットの小説、特にマルタの鷹は、まさしく行動派な探偵小説と呼ぶにふさわしい作品だったわけですね。
 
 ですがここでちょっとした疑問が。
 もう何度も読んでいたのに、いまさらこんなことに気がついた自分の愚かさに笑ってしまいそうですが、マルタの鷹は推理小説じゃないんじゃないの? って疑問が……。
 
 推理小説というのは、読者のために推理に必要な証拠を作品のそこかしこに散りばめておくのが常套手段なわけですが、マルタの鷹にはそれがないような?

 唯一あるのは、スペードがブリジッドを警察に突き出すと言ったことへの理由です。
 つまり、ブリジッドがスペードにただの一度も真実を語らなかったことがその理由で、それは作品の最初からずっと、スペード自身もそれに気がついていることがあちこちに書かれているわけです。

 恋仲になった女を警察に突き出すスペード。
 なんで? と思った読者に対して、その理由である嘘つき女っぷりを並べるスペード。
 なるほど。
 でもこれ、犯人が誰かってことが明かされるためのものじゃないから、やっぱり推理小説じゃないわよね。(笑)
 
 
 ですが、それこそが行動派探偵小説と言わしめる作品の特徴でもあるんですね。
 行動派探偵小説というのは、主人公が行動しているシーンが主体で構成されているので、行動することで話が進むわけです。
 
 行動とはなにかと言えば、探偵なわけですから請けた依頼を解決するための行動、すなわち調査です。
 
 調査をしているシーンが主体なわけで、主人公は優秀な探偵なわけですから、話が進むにつれ読者は犯人が誰かなんてすぐにわかってしまうんです。
 
 でもでも、わかったら面白くない。
 だから、推理の証拠になるものなんか散りばめずに、話が進むことでどんどん新たな展開を生んでいきながら、最後に犯人はおまえだ! ってやるんです。
 
 この、証拠を散りばめずに主人公が犯人にたどり着く、読者から見たらアンフェアなずるい手法というのは、近年のドラマなどにはよくありますよね。大どんでん返しとか銘打っちゃって、なんの脈絡もないところから真犯人出てきたりするの。伏線もなにもまったく無視のアレですよ。

 言ってみればマルタの鷹もそれなんです。(大どんでん返しなどはなく、犯人が誰かなんて最初のほうでわかってしまうんですけどね。笑)
 
 でも! マルタの鷹がそんないい加減な作品たちとは違い、ハードボイルドの古典として偉大な作品と称えられるのはなぜか?

 わたくしなりに考えてみました。

 
 主人公のサム・スペードは、ハードボイルドで、女ったらしで、おかねが大好きな私立探偵です。(ろくでもねぇ! 笑)
 ですから、犯人が誰かなんてそもそもあまり関係ないんです。
 スペードは警官じゃなく探偵だってことです。

 スペードが依頼されるのは、マルタの鷹を手に入れることで、犯人探しじゃないんです。
 ストーリーのなかで、誰が犯人なのだろうか? と考えるのは読者であって、女ったらしでおかねが大好きなスペードにとって、そこはあまり重要じゃないんですね。
 誰が犯人なのかという情報を集めるのは、スペード自身が犯人扱いされたからであって、スペードにとっては誰が犯人でも構わないんです。自分が捕まらないためなら、無実の人間でも犯人にでっち上げるくらいのことはしちゃう主人公なんです。(やっぱりろくでもねぇ! 笑)

 そうなんです、マルタの鷹は殺人事件こそ起きますが、殺人事件はストーリーの一部でしかないんですね。
 
 ハメットが描いたのは、殺人事件を解決していく模様ではなく、サム・スペードの生き様だったんです。

 そしてその生き様こそがハードボイルドってことなんです。

 チャンドラーの書くハードボイルドは、どれもちゃんと推理要素があり、主人公のフィリップ・マーロウは紳士で潔癖な側面がある、品の良いハードボイルドなわけですが、ダシール・ハメットが描いたサム・スペードは、真のハードボイルドで、ハメットはスペードそのものを描くためにマルタの鷹をかいたのじゃないでしょうか。

 そういう意味では、殺人事件の犯人もマルタの鷹の所在もたいした事象ではなく、最後にスペードがブリジッドを警察に突き出すときの非情さこそが、一番の見せ場であって、その非情さを裏付けるために各所に散りばめられた証拠こそが、マルタの鷹でハメットが読者に与えたフェアなヒントだったと言うわけですね。

 ハメットが描いたのは、ハードボイルドであって、推理だのミステリーだのといったものではなかったと言うことです。

 なるほど、やっぱりマルタの鷹はハードボイルド小説の最高峰であり、ダシール・ハメットはハードボイルド小説の創始者と呼ばれるに値するすばらしい作家だったわけです。

 ちなみに、マルタの鷹の主人公サム・スペードの本名は、サミュエル・スペードと言います。
 
 ダシール・ハメットの本名は?

 サミュエル・ダシール・ハメットなんですね。
 
 ハメットはスペードに自分を重ね合わせ、理想とする男を描いたのでしょう。
 
 わたくしも、自分の小説に出てくるヒロインと同じペンネームを使っているわけですが、やっぱり似たような理由なのかもしれません。(笑) 

 
 本日の「しのぶが思うハードボイルド」

 かねのためなら依頼人すら欺く非情さ

 以上でございます。


 それではまた、酒井しのぶでございました。

拍手[6回]

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