妄想/連想/暴走――激走する脳内モルヒネの意想。 変態ハードボイルド小説作家の有相無相――
酒井しのぶの作品紹介
【ファッキン・シスターズ・クライスト】
酒好きで女好きで自堕落で格好つけの片桐有二は、二十五年まえに体験したレイプ事件のトラウマに悩まされる、ハードボイルドを気取った私立探偵。ある依頼がもとで、変態性癖が巻き起こす事件に首を突っ込むことになってしまう。高飛車で自分勝手なふしだら女の酒井しのぶと共に、事件の真相を探りだすのだが……推理あり、シリアスありの、本格ハードボイルド長編小説。
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/b8eafacedab90e882efc28425b82a3db/1268133120)
【あいつとの電話】
ツンデレコンビのしのぶと有二。小説のなかだけじゃなく、普段の会話も超ツンデレ&超下品でちょっぴりエッチ!
酒井しのぶの小説に登場する二人が織り成す、会話のみの超ショートショート作品集です。一話読みきりなので、お気軽に読んでいただければと思います。
【Shinobu to Yuji 短編集】
長編ファッキン・シスターズ・クライストの外伝的一話読みきり短編作品集。笑い、切ない過去、素直じゃない愛情、そしてお決まりのエッチな会話。しのぶと有二のツンデレコンビは、殺人事件がなくても面白い。
![](https://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/b8eafacedab90e882efc28425b82a3db/1268133068)
(注: すべての作品がR15指定です。作品の性格上、性描写、暴力描写、差別的発言などが各所に出てきます。不快に思う人は読まないでください)
酒好きで女好きで自堕落で格好つけの片桐有二は、二十五年まえに体験したレイプ事件のトラウマに悩まされる、ハードボイルドを気取った私立探偵。ある依頼がもとで、変態性癖が巻き起こす事件に首を突っ込むことになってしまう。高飛車で自分勝手なふしだら女の酒井しのぶと共に、事件の真相を探りだすのだが……推理あり、シリアスありの、本格ハードボイルド長編小説。
【あいつとの電話】
ツンデレコンビのしのぶと有二。小説のなかだけじゃなく、普段の会話も超ツンデレ&超下品でちょっぴりエッチ!
酒井しのぶの小説に登場する二人が織り成す、会話のみの超ショートショート作品集です。一話読みきりなので、お気軽に読んでいただければと思います。
【Shinobu to Yuji 短編集】
長編ファッキン・シスターズ・クライストの外伝的一話読みきり短編作品集。笑い、切ない過去、素直じゃない愛情、そしてお決まりのエッチな会話。しのぶと有二のツンデレコンビは、殺人事件がなくても面白い。
(注: すべての作品がR15指定です。作品の性格上、性描写、暴力描写、差別的発言などが各所に出てきます。不快に思う人は読まないでください)
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【ボチボチと書き始めています】
いろいろあり、忙しい毎日を過ごしています。
書きたい衝動は日に日に増してくるのですが、なかなか時間が作れず、昔のようにすべてを犠牲にして書く勇気もなく、いまは我慢の時期かなと思う今日この頃。
それでも、書かずにはいられないときもあるので、短いエピソード的なものをチマチマと書いたりしています。
皆様のところへ訪問する時間はまだなかなか作れませんが、毎日少しづつですが、勉強し精進しているところですので、いましばらくお待ちくださいませ。
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こんにちは、酒井しのぶでございます。
さて、まだまだジミ・ヘンドリックスの話はつづくのですが、今日はちょっと別の角度からブルースを切って行きたいと思っております。
言ってみれば今日はちょっと、小休止的な方向でいこうかなと。(ジミについてはまた次回! サボリ!?)
ブルースだらだら書きなぐり 2回目の冒頭で、R&Bについてちょっと触れました。
日本の有名ミュージシャンたちがこぞってR&Bを歌っていたわけですが、わたくしはそれをR&Bではないと、そんな内容のことを書いたわけです。
では、R&Bとはなにか。
今日はそこらへんに触れつつ、ブルースやロックについてお話していきましょう。
R&Bとは、リズム・アンド・ブルースの略です。
意味どおりであるならば、リズムやビートがより強く打ち出されたブルースということになります。
ですから、ブルースだらだら書きなぐり 3回目でご紹介した、アルバート・キングの曲などもR&Bに含まれたりするんですね。
ですが、ここにはちょっとしたアメリカの商業マジックがあります。
ご存知の人も多いと思いますが、カントリー・ウェスタンと呼ばれるジャンルがありますね。
古き良きアメリカを代表する民族音楽です。
とはいえ、アメリカは国としての歴史が浅いので、「古き良き」って表現が音楽的にはそもそも当てはまりません。
さらに移民の国ですから、民族音楽というのもおかしな話です。本来の民族音楽はインディアンのものであるはずでが、カントリー・ミュージックは白人音楽です。
カントリー・ウェスタンはアメリカによってアメリカのイメージと共に作り上げられた偽の民族音楽であり、じつはジャズやブルースよりも歴史は浅いんです。(わずかな差ですけどね)
ですので、カントリー・ミュージックにもジャズやブルースの要素はふんだんに盛り込まれています。
では、カントリーとブルース、どう違うのでしょうか。
簡単な違いがあります。
それは白人音楽か黒人音楽かの違いです。カントリーもブルースから発展している音楽であるのは、他の多くのポップスと一緒です。
ちょっとカントリーを聴いてみましょうか。
カントリーは、ブルースやゴスペルを基板に、ヨーロッパの民族音楽を取り入れたものです。なかでもケルト民謡の色が濃いのが特徴だと思います。
ジャズやブルースと一緒で、アメリカ南部が発祥です。
バックでリードを取っている楽器(ハワイアンっぽいヤツ)は、スライドギターです。スライドギターはボトルネックと言われるバーを使って弦を押さえ、それを滑らせることでなめらかな音を出します。
これにより、音を変えるときに音が移動して行く過程の音も鳴ることになり、西洋音楽の12音階にはない音が出ます。
つまり、ロシア系のユダヤ人でアメリカ育ちの作曲家が黒人音楽を作るとこうなるでご説明した、ブルーノートも鳴るんです。
スライドギターはブルースでは定番の楽器です。(カントリーでの使用方法や、楽器の形状は違いますが)
音楽の形式にも、ブルースとの大きな違いはありません。
よく、日本で例えると「ブルースは演歌」だと言われますが、わたくしは違うと思っています。
ブルースは民謡であり、カントリーが演歌だと思います。
ですが、白人至上主義絶頂期のアメリカに置いて、アメリカが生んだ音楽のすべてが黒人音楽から派生している事実は、認めがたいものです。
だからこそ、ぜんぜん古くもないのに〝古き良き〟を強調して、アメリカを象徴するのがカントリー・ウェスタンなわけですね。
アメリカは白人が作った国であることを明確にするために、商業的に利用された音楽がカントリー・ミュージックなのです。(もちろんカントリー・ミュージックを作り出した人たちにそのような差別的な意思はありません)
本当はカントリーからロカビリーの話になって、エルビス・プレスリーの話題になり、さらにそこからネオ・ロカビリーに移行して、ブライアン・セッツァーの話題に行きたいところですが、今日の話題とは趣旨が違ってしまうので、それはまた今度にしましょう。(笑)
カントリー・ミュージックはもともとヒルビリーと呼ばれていました。
ヒルビリー・ブルース、ヒルビリー・バップや、ウェスタン・スウィング、ホンキー・トンク、などなど。これらのサブジャンルをひっくるめてヒルビリーと呼ばれていたわけです。
一方、ブルースをはじめとする黒人音楽は、ブルースもゴスペルもジャズもすべてまとめて、レイス・ミュージックと呼ばれていました。(ジャズの場合は、形式により違う場合もあります。また、ブルースにはもっと細かいサブジャンルがたくさん存在します)
この二つのジャンルには、実は音楽的な大きな違いはあまりなく、あるのは人種の違いです。
前々から書いているとおり、西洋音楽理論で解剖され発展しているか、ブルースフィーリングで創造され発展しているかの違いくらいしかなく、お互いに影響しあっているのは当たり前のことで、お互いがお互いを吸収しあって発展しています。
当たり前のことですが、差別を生むのは商業として利用する立場の人たちであって、ミュージシャンたちにそのような概念はありません。良いものは良いとして、自分たちの音楽に取り入れていくので、はじまりはブルースであっても、それ以降はそれぞれが絡み合って発展していきます。
音楽において、ジャンル分けが難しいのはそういった理由からです。
まぁとにかく、そんなこんなで人種差別を伴なうジャンル分けであるために、あるヒットチャートの製作会社がジャンル名の改変をするんですね。
それで、ヒルビリーはカントリーとなり、レイス・ミュージックはリズム・アンド・ブルースとなるわけです。
つまり、黒人音楽を総称したものが、本来のR&Bなわけです。
ですから、R&Bのなかにはこれまでにわたくしが紹介してきた黒人音楽のすべて、当然ブルースも含まれます。
そして、カントリーとR&Bの違いは、人種の違いであり、西洋音楽を基板に作られたものが「ヒルビリー=カントリー」であり、黒人のフィーリングで創造されたものが「レイス・ミュージック=R&B」なわけですから、日本のR&Bはどれも西洋音楽よと言ったわけです。
とはいえ、カントリーがジャズやブルースをもとに白人が発展させた音楽のすべてを指すのかと言えば、そうではありません。
同じように、黒人音楽のすべてをR&Bと呼ぶのかと言えば、そうではないのも事実です。
ジャンルは音楽の発展とともにどんどん細分化されていきます。もともとR&Bとされていたもの、カントリーとされていたものにサブジャンルが生まれたり、カントリー、R&B自体がサブジャンルになったりと、ジャンルはどんどん変化していくのです。
カントリーもR&Bも広義の意味ではいま書いたとおりですが、1つのジャンルとして見たときにはもうちょっと狭い意味に変化しました。
最初に書いたとおりに、R&Bは「リズムやビートが強調されたブルース」を指します。
つまりですね。
もともとR&Bの意味が指す音楽とは、ロックンロールのことだったんですね。
実際に、ローリング・ストーンズはいまだに自分たちの音楽のことをR&Bだと言います。
R&Bは白人が黒人音楽を呼ぶために作った言葉であり、一方のロックンロールはもともと黒人スラングだったという、相互関係もあったりするんです。
つまり、同じジャンルを、白人はR&Bと呼び、黒人はロックンロールと呼んだってことかもしれませんね。(わたくしがロックンロールとロックを区別する理由はここにあります)
ただ、広義の意味でR&Bが使われたことにより、R&Bのほうが黒人サウンドの泥臭さが強いというイメージが備わっているだけにすぎないのかもしれませんね。(わたくしたち日本人は、けっきょく白人文化からいろいろなものを吸収していると言うことです)
ミュージシャンも、ヒットチャートのジャンルを作る人間も、それぞれのイメージでジャンル分けをしているに過ぎませんから、絶対といえる法則はないのです。
そしてですね、この同じジャンルを指す二つの言葉は、面白いことにそれぞれ別の方向へ進みだすんです。
ロックンロールはその後、ロック、ハードロック、ヘヴィーメタルへと過激な方向へ発展していきます。
一方の、もともと黒人音楽であったレイス・ミュージックの別名である、リズム・アンド・ブルースは、ソウルやファンクなどへ発展していくのです。
差別を取り去るために変更されたジャンル名でしたが、リズム・アンド・ブルースはブルースと歌ってしまっているので、黒人カラーを払拭できなかったのですね。
ロックンロールとは分けられて、それぞれ別の方向へ向かうこととなり、ソウルやファンクに発展したリズム・アンド・ブルースは、それらすべての黒人音楽を総称してブラック・コンテンポラリーと呼ばれるようになります。
R&Bが担っていた黒人音楽の総称は、ブラック・コンテンポラリーに変わり、R&Bはソウルやファンクの前身音楽としてのサブジャンルであることが明確になるのです。
これにより、一旦はR&Bという用語はロックンロールの時代のものとなり、黒人音楽すべてを内包する広義のジャンル用語としては使用されなくなりました。
それがだいたい、1980年代初頭の出来事です。
ですが、1990年代にR&Bは復活します。
わたくしのブログの読者さまは高齢化が進んでおりますので、皆さんご存知だと思います。(もちろん高齢化なんて冗談ですよ。いや……ちょっとは本気かな……。笑)
復活の火付け役は意外なところ、ファンション業界からやってきました。
70年代ファッションのリバイバルです。
もともとはファッション業界が巻き起こしたリバイバルなわけですが、これはめちゃめちゃなブームとなり、ファッションだけじゃなく、時代すべてが70年代を懐かしみだすわけです。
わたくし的には、ずっと60年代70年代の音楽をやっていたので、それまで専門店でしか買えなかったローライズのパンタロンとか、大きいレンズのサングラスとか、ちょびっとヒールのぺったんこサンダルとかが、近所の安いお店で買えたりしてとってもハッピーでしたよ。(爆)
それまでは、汗でびっしょりになっちゃったり、あちこちぶつけて汚したり破いたりしちゃうステージ衣装のために、何万円も使ってジャニス・ジョプリンの格好を真似していたのに、1万円もだせば上から下までジャニス・ジョプリンになれちゃいましたからね。(ジャニス・ジョプリンについてはこちらをどうぞ。 →
ジャニス・ジョプリン)
あ……なんかわたくしが貧乏ったらしいみたいに聞こえますね。(まぁ、貧乏ですけどね。笑)
ステージ衣装というのはペラペラの安物がいいんです。
ステージの上は照明で暑いですし、安いものでも照明により見栄えが良くなります。
男性は暑さ対策でスーツの裏地がないものを着たりするんです。
また、ライブステージの床は黒いゴム張りのところが多いので、激しいパフォーマンスのロックでは、靴は擦れて黒い摺り跡だらけになっちゃいます。ゴムの跡なので、なかなか落ちないから、そうなるともう履いて歩けません。
ライブハウスのステージは狭いので、服なんかあっちこっちに引っ掛けてやぶいちゃったりするしね。(暴れすぎですね。酔っ払っていますからね。自重しますね。爆)
だからステージ衣装は安物でいいのよ!(って、言い訳をしてみました。笑)
話が大きく脱線しましたね。
なんだっけ? ああそうそう、70年代リバイバルですね。
そうなんです、1990年代に巻き起こった70年代ブームが、ブラック・コンテポラリーと呼ばれていた黒人音楽の総称を、70年代の雰囲気出しのためにR&Bと呼ぶようになったんです。
ソウルやファンクと区別するために、広義の意味でのR&Bはとっくに消え去っていた時代に、ソウルやファンクを含めた状態でR&Bという言葉が復活しちゃったわけです。
また、時代的にちょうど、クラブ・ミュージックが盛んなときでしたので、デジタルサウンドや、打ち込み音楽など、黒人が発展させたもの以外でも、黒人音楽風味ならばすべてR&Bと呼ばれるようになり、これらの音楽の流行により、ギター音楽が衰退していた背景も含め、主に「歌唱主体の黒人風味な音楽」がR&Bと呼ばれるようになったんですね。
ですので現在は、打ち込みなどで機械的に作りだした音源さえあればソロで歌が歌えるという利点も含めて、ラップやレゲエやスキャットなどの歌唱主体の黒人音楽はもちろん、それ以外でもそれらしければR&Bと呼ばれ、黒人音楽からは独立したクラブ音楽のカテゴリーとなりつつあります。
つまり、現代におけるR&Bとは、時代の流れのなかで間違って解釈されてきたジャンルの区分ということになるわけで、本来のR&Bと現代のR&Bは全く別物と言えるわけです。
これに対しては「別物ではなく発展の過程で成長し変化した」という意見も多いのですが、わたくしとしてはジャンル名の改変と復活によりR&Bという「言葉」のポジションが変わっているだけと考えますので、本来のR&Bと現在のR&Bが指す音楽は、やはり違うものだと思っています。(わたくし個人の意見ですので、誤解のないように)
どうでしょう?
R&Bの意味について、少しはわかっていただけたでしょうか。
長くなっちゃったので、わたくしが思うR&Bを聴いて終わりましょうかね。
アレサ・フランクリンです。
リズム・アンド・ブルースがファンクやソウルに移行したことをわかりやすくするために、この曲にしてみました。
ロックンロールと同じ意味だったとはいえ、以後の発展の過程はぜんぜん違うのがリズム・アンド・ブルースです。
発展の仕方が違ったということは、内包するものもやはり違ったのかもしれません。
違ったからこそ、理論上は同じでありながらも、ロックンロールとリズム・アンド・ブルースという二つの呼び名が存在していたんでしょうね。
あ、そうだ。
アレサ・フランクリンの曲をもう1曲載せておきますね。
以前、本田美奈子の隠れた仕事という記事で、アメージング・グレースを歌う本田美奈子の動画を載せましたが、アメージング・グレイスは黒人フィーリングになると、こうなります。比べて聞くと面白いかもしれません。(笑)
素晴らしいですね。
賞賛する言葉も見つかりませんね。(作家なのにボキャブラリーなしですね。笑)
ちなみに、アレサ・フランクリンに関しては過去記事でも書いているので、参照してくださいませね。 → アレサ・フランクリン
本日の「しのぶが思うハードボイルド」
人間の生臭さを隠さず歌うブルースマン。(ちなみに、ブルースは、正式にはブルーズと言うんですよ)
以上でございます。
それではまた、酒井しのぶでございました。
さて、まだまだジミ・ヘンドリックスの話はつづくのですが、今日はちょっと別の角度からブルースを切って行きたいと思っております。
言ってみれば今日はちょっと、小休止的な方向でいこうかなと。(ジミについてはまた次回! サボリ!?)
ブルースだらだら書きなぐり 2回目の冒頭で、R&Bについてちょっと触れました。
日本の有名ミュージシャンたちがこぞってR&Bを歌っていたわけですが、わたくしはそれをR&Bではないと、そんな内容のことを書いたわけです。
では、R&Bとはなにか。
今日はそこらへんに触れつつ、ブルースやロックについてお話していきましょう。
R&Bとは、リズム・アンド・ブルースの略です。
意味どおりであるならば、リズムやビートがより強く打ち出されたブルースということになります。
ですから、ブルースだらだら書きなぐり 3回目でご紹介した、アルバート・キングの曲などもR&Bに含まれたりするんですね。
ですが、ここにはちょっとしたアメリカの商業マジックがあります。
ご存知の人も多いと思いますが、カントリー・ウェスタンと呼ばれるジャンルがありますね。
古き良きアメリカを代表する民族音楽です。
とはいえ、アメリカは国としての歴史が浅いので、「古き良き」って表現が音楽的にはそもそも当てはまりません。
さらに移民の国ですから、民族音楽というのもおかしな話です。本来の民族音楽はインディアンのものであるはずでが、カントリー・ミュージックは白人音楽です。
カントリー・ウェスタンはアメリカによってアメリカのイメージと共に作り上げられた偽の民族音楽であり、じつはジャズやブルースよりも歴史は浅いんです。(わずかな差ですけどね)
ですので、カントリー・ミュージックにもジャズやブルースの要素はふんだんに盛り込まれています。
では、カントリーとブルース、どう違うのでしょうか。
簡単な違いがあります。
それは白人音楽か黒人音楽かの違いです。カントリーもブルースから発展している音楽であるのは、他の多くのポップスと一緒です。
ちょっとカントリーを聴いてみましょうか。
カントリーは、ブルースやゴスペルを基板に、ヨーロッパの民族音楽を取り入れたものです。なかでもケルト民謡の色が濃いのが特徴だと思います。
ジャズやブルースと一緒で、アメリカ南部が発祥です。
バックでリードを取っている楽器(ハワイアンっぽいヤツ)は、スライドギターです。スライドギターはボトルネックと言われるバーを使って弦を押さえ、それを滑らせることでなめらかな音を出します。
これにより、音を変えるときに音が移動して行く過程の音も鳴ることになり、西洋音楽の12音階にはない音が出ます。
つまり、ロシア系のユダヤ人でアメリカ育ちの作曲家が黒人音楽を作るとこうなるでご説明した、ブルーノートも鳴るんです。
スライドギターはブルースでは定番の楽器です。(カントリーでの使用方法や、楽器の形状は違いますが)
音楽の形式にも、ブルースとの大きな違いはありません。
よく、日本で例えると「ブルースは演歌」だと言われますが、わたくしは違うと思っています。
ブルースは民謡であり、カントリーが演歌だと思います。
ですが、白人至上主義絶頂期のアメリカに置いて、アメリカが生んだ音楽のすべてが黒人音楽から派生している事実は、認めがたいものです。
だからこそ、ぜんぜん古くもないのに〝古き良き〟を強調して、アメリカを象徴するのがカントリー・ウェスタンなわけですね。
アメリカは白人が作った国であることを明確にするために、商業的に利用された音楽がカントリー・ミュージックなのです。(もちろんカントリー・ミュージックを作り出した人たちにそのような差別的な意思はありません)
本当はカントリーからロカビリーの話になって、エルビス・プレスリーの話題になり、さらにそこからネオ・ロカビリーに移行して、ブライアン・セッツァーの話題に行きたいところですが、今日の話題とは趣旨が違ってしまうので、それはまた今度にしましょう。(笑)
カントリー・ミュージックはもともとヒルビリーと呼ばれていました。
ヒルビリー・ブルース、ヒルビリー・バップや、ウェスタン・スウィング、ホンキー・トンク、などなど。これらのサブジャンルをひっくるめてヒルビリーと呼ばれていたわけです。
一方、ブルースをはじめとする黒人音楽は、ブルースもゴスペルもジャズもすべてまとめて、レイス・ミュージックと呼ばれていました。(ジャズの場合は、形式により違う場合もあります。また、ブルースにはもっと細かいサブジャンルがたくさん存在します)
この二つのジャンルには、実は音楽的な大きな違いはあまりなく、あるのは人種の違いです。
前々から書いているとおり、西洋音楽理論で解剖され発展しているか、ブルースフィーリングで創造され発展しているかの違いくらいしかなく、お互いに影響しあっているのは当たり前のことで、お互いがお互いを吸収しあって発展しています。
当たり前のことですが、差別を生むのは商業として利用する立場の人たちであって、ミュージシャンたちにそのような概念はありません。良いものは良いとして、自分たちの音楽に取り入れていくので、はじまりはブルースであっても、それ以降はそれぞれが絡み合って発展していきます。
音楽において、ジャンル分けが難しいのはそういった理由からです。
まぁとにかく、そんなこんなで人種差別を伴なうジャンル分けであるために、あるヒットチャートの製作会社がジャンル名の改変をするんですね。
それで、ヒルビリーはカントリーとなり、レイス・ミュージックはリズム・アンド・ブルースとなるわけです。
つまり、黒人音楽を総称したものが、本来のR&Bなわけです。
ですから、R&Bのなかにはこれまでにわたくしが紹介してきた黒人音楽のすべて、当然ブルースも含まれます。
そして、カントリーとR&Bの違いは、人種の違いであり、西洋音楽を基板に作られたものが「ヒルビリー=カントリー」であり、黒人のフィーリングで創造されたものが「レイス・ミュージック=R&B」なわけですから、日本のR&Bはどれも西洋音楽よと言ったわけです。
とはいえ、カントリーがジャズやブルースをもとに白人が発展させた音楽のすべてを指すのかと言えば、そうではありません。
同じように、黒人音楽のすべてをR&Bと呼ぶのかと言えば、そうではないのも事実です。
ジャンルは音楽の発展とともにどんどん細分化されていきます。もともとR&Bとされていたもの、カントリーとされていたものにサブジャンルが生まれたり、カントリー、R&B自体がサブジャンルになったりと、ジャンルはどんどん変化していくのです。
カントリーもR&Bも広義の意味ではいま書いたとおりですが、1つのジャンルとして見たときにはもうちょっと狭い意味に変化しました。
最初に書いたとおりに、R&Bは「リズムやビートが強調されたブルース」を指します。
つまりですね。
もともとR&Bの意味が指す音楽とは、ロックンロールのことだったんですね。
実際に、ローリング・ストーンズはいまだに自分たちの音楽のことをR&Bだと言います。
R&Bは白人が黒人音楽を呼ぶために作った言葉であり、一方のロックンロールはもともと黒人スラングだったという、相互関係もあったりするんです。
つまり、同じジャンルを、白人はR&Bと呼び、黒人はロックンロールと呼んだってことかもしれませんね。(わたくしがロックンロールとロックを区別する理由はここにあります)
ただ、広義の意味でR&Bが使われたことにより、R&Bのほうが黒人サウンドの泥臭さが強いというイメージが備わっているだけにすぎないのかもしれませんね。(わたくしたち日本人は、けっきょく白人文化からいろいろなものを吸収していると言うことです)
ミュージシャンも、ヒットチャートのジャンルを作る人間も、それぞれのイメージでジャンル分けをしているに過ぎませんから、絶対といえる法則はないのです。
そしてですね、この同じジャンルを指す二つの言葉は、面白いことにそれぞれ別の方向へ進みだすんです。
ロックンロールはその後、ロック、ハードロック、ヘヴィーメタルへと過激な方向へ発展していきます。
一方の、もともと黒人音楽であったレイス・ミュージックの別名である、リズム・アンド・ブルースは、ソウルやファンクなどへ発展していくのです。
差別を取り去るために変更されたジャンル名でしたが、リズム・アンド・ブルースはブルースと歌ってしまっているので、黒人カラーを払拭できなかったのですね。
ロックンロールとは分けられて、それぞれ別の方向へ向かうこととなり、ソウルやファンクに発展したリズム・アンド・ブルースは、それらすべての黒人音楽を総称してブラック・コンテンポラリーと呼ばれるようになります。
R&Bが担っていた黒人音楽の総称は、ブラック・コンテンポラリーに変わり、R&Bはソウルやファンクの前身音楽としてのサブジャンルであることが明確になるのです。
これにより、一旦はR&Bという用語はロックンロールの時代のものとなり、黒人音楽すべてを内包する広義のジャンル用語としては使用されなくなりました。
それがだいたい、1980年代初頭の出来事です。
ですが、1990年代にR&Bは復活します。
わたくしのブログの読者さまは高齢化が進んでおりますので、皆さんご存知だと思います。(もちろん高齢化なんて冗談ですよ。いや……ちょっとは本気かな……。笑)
復活の火付け役は意外なところ、ファンション業界からやってきました。
70年代ファッションのリバイバルです。
もともとはファッション業界が巻き起こしたリバイバルなわけですが、これはめちゃめちゃなブームとなり、ファッションだけじゃなく、時代すべてが70年代を懐かしみだすわけです。
わたくし的には、ずっと60年代70年代の音楽をやっていたので、それまで専門店でしか買えなかったローライズのパンタロンとか、大きいレンズのサングラスとか、ちょびっとヒールのぺったんこサンダルとかが、近所の安いお店で買えたりしてとってもハッピーでしたよ。(爆)
それまでは、汗でびっしょりになっちゃったり、あちこちぶつけて汚したり破いたりしちゃうステージ衣装のために、何万円も使ってジャニス・ジョプリンの格好を真似していたのに、1万円もだせば上から下までジャニス・ジョプリンになれちゃいましたからね。(ジャニス・ジョプリンについてはこちらをどうぞ。 →
ジャニス・ジョプリン)
あ……なんかわたくしが貧乏ったらしいみたいに聞こえますね。(まぁ、貧乏ですけどね。笑)
ステージ衣装というのはペラペラの安物がいいんです。
ステージの上は照明で暑いですし、安いものでも照明により見栄えが良くなります。
男性は暑さ対策でスーツの裏地がないものを着たりするんです。
また、ライブステージの床は黒いゴム張りのところが多いので、激しいパフォーマンスのロックでは、靴は擦れて黒い摺り跡だらけになっちゃいます。ゴムの跡なので、なかなか落ちないから、そうなるともう履いて歩けません。
ライブハウスのステージは狭いので、服なんかあっちこっちに引っ掛けてやぶいちゃったりするしね。(暴れすぎですね。酔っ払っていますからね。自重しますね。爆)
だからステージ衣装は安物でいいのよ!(って、言い訳をしてみました。笑)
話が大きく脱線しましたね。
なんだっけ? ああそうそう、70年代リバイバルですね。
そうなんです、1990年代に巻き起こった70年代ブームが、ブラック・コンテポラリーと呼ばれていた黒人音楽の総称を、70年代の雰囲気出しのためにR&Bと呼ぶようになったんです。
ソウルやファンクと区別するために、広義の意味でのR&Bはとっくに消え去っていた時代に、ソウルやファンクを含めた状態でR&Bという言葉が復活しちゃったわけです。
また、時代的にちょうど、クラブ・ミュージックが盛んなときでしたので、デジタルサウンドや、打ち込み音楽など、黒人が発展させたもの以外でも、黒人音楽風味ならばすべてR&Bと呼ばれるようになり、これらの音楽の流行により、ギター音楽が衰退していた背景も含め、主に「歌唱主体の黒人風味な音楽」がR&Bと呼ばれるようになったんですね。
ですので現在は、打ち込みなどで機械的に作りだした音源さえあればソロで歌が歌えるという利点も含めて、ラップやレゲエやスキャットなどの歌唱主体の黒人音楽はもちろん、それ以外でもそれらしければR&Bと呼ばれ、黒人音楽からは独立したクラブ音楽のカテゴリーとなりつつあります。
つまり、現代におけるR&Bとは、時代の流れのなかで間違って解釈されてきたジャンルの区分ということになるわけで、本来のR&Bと現代のR&Bは全く別物と言えるわけです。
これに対しては「別物ではなく発展の過程で成長し変化した」という意見も多いのですが、わたくしとしてはジャンル名の改変と復活によりR&Bという「言葉」のポジションが変わっているだけと考えますので、本来のR&Bと現在のR&Bが指す音楽は、やはり違うものだと思っています。(わたくし個人の意見ですので、誤解のないように)
どうでしょう?
R&Bの意味について、少しはわかっていただけたでしょうか。
長くなっちゃったので、わたくしが思うR&Bを聴いて終わりましょうかね。
アレサ・フランクリンです。
リズム・アンド・ブルースがファンクやソウルに移行したことをわかりやすくするために、この曲にしてみました。
ロックンロールと同じ意味だったとはいえ、以後の発展の過程はぜんぜん違うのがリズム・アンド・ブルースです。
発展の仕方が違ったということは、内包するものもやはり違ったのかもしれません。
違ったからこそ、理論上は同じでありながらも、ロックンロールとリズム・アンド・ブルースという二つの呼び名が存在していたんでしょうね。
あ、そうだ。
アレサ・フランクリンの曲をもう1曲載せておきますね。
以前、本田美奈子の隠れた仕事という記事で、アメージング・グレースを歌う本田美奈子の動画を載せましたが、アメージング・グレイスは黒人フィーリングになると、こうなります。比べて聞くと面白いかもしれません。(笑)
素晴らしいですね。
賞賛する言葉も見つかりませんね。(作家なのにボキャブラリーなしですね。笑)
ちなみに、アレサ・フランクリンに関しては過去記事でも書いているので、参照してくださいませね。 → アレサ・フランクリン
本日の「しのぶが思うハードボイルド」
人間の生臭さを隠さず歌うブルースマン。(ちなみに、ブルースは、正式にはブルーズと言うんですよ)
以上でございます。
それではまた、酒井しのぶでございました。
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